原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

【スタ短特訓】講義補足(商法②)

2010-09-16 | 講義関連(講義関連・講義補足など)
今日は、厚木→藤沢を回る水曜日。先週は台風で大変だったものの、今日はスムーズに移動。9月最初のお休みまであと6日。受験生の頃は、休みなんてありませんでしたから、今の方が楽です。

さて、講義補足です。

第3問
株主提案権(303、304、305)のお話をしましたが、やや言葉が足りない部分がありました。305は、第1項に「8週間前まで」とあります。しかし、303は第2項に「8週間前」とあります。つまり、303のケースは、原則として事前の請求は必要ないが、取締役会設置会社では例外的に「8週間前まで」の事前の請求が必要、ということです。講義では原則論を述べ、例外には触れませんでした。例外もご確認願います。

第4問
エ…関連して、レジュメ12頁をご覧ください。2の判例は確定判例として押さえてください。法人(自治体・会社)が株主の場合、職員・従業員が議決権行使できるのは特に問題ありません。問題は、自然人が株主の場合です。3と5の判例を斐閣してください。逆の結論です。対立する考慮要素は、「議決権行使の機会の確保」VS「本人による議決権の適正行使」「会社の事務手続的な困難」です。前者に重きにおけば、3の判例のような判断。後者に力点をおけば、5のような判断にいたります。ここは、難しいところです。小規模閉鎖会社であれば前者を、大規模会社であれば後者を強調するのも一つの手です。論文で出題された場合は、個別具体的な事情をよく勘案する必要があります。

第19問
エ…趣旨が、「会社の損害回避」であることから容易に想像がつくかと思います。肢のケースでは、取締役会の承認不要です。他方で、有利子で貸し付けるとなれば、やはり取締役会の承認が必要です。もし不要なのだとしたら、私はある会社の取締役になって、会社にカネを貸し付けることにより運用します(笑)

第22問
イ…会計監査人は423Ⅰの「役員等」に含まれることを確認してください。そして、329Ⅰの「役員」には含まれていないことを確認してください。あらかじめ正確にインプットしておかないと、論文でケアレスミスをしかねない点です(私はミスしたことがあります。答練で、ですが)。加えて、責任軽減の方法について確認してください。①総会特別決議(425)、②取締役会決議(426)、③責任限定契約(427)のそれぞれの場合につき、要件をしっかりと押さえてください。論文で書く可能性があります。なお、③のみ事前の責任軽減です。

レジュメ38頁
ダスキン事件、よく確認してください。こういう判例(裁判例)が、試験委員の頭のどこかにあって、問題作成の際に参考にされると私は感じています。<コメント>の部分を見てください。2行目に「その事実を直ちに公表し、回収・謝罪等の回復措置をと」ることが、善管注意義務の内容であり、あるべき経営判断の内容です。論文では、これをしっかりと特定し、「任務を怠った」と認定せねばなりません。

さて、アイロンをかけなくては…(笑)

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