【第1問】
<小問1>
・代表取締役の権限濫用について,原則論(原則として有効)が出ていない答案が多数。原則あっての修正論です。なぜ原則有効なのかは,講義で十分お話ししたので復習を。原則がどちらかのかがわからないのは,合格しない人の典型。
・取締役会決議を欠く利益相反取引の効果の話の修正論として,民法93但書の話をしてしまう答案が出てきました。93但類推は,原則有効だから使うものです。ですから,ここで出てきてはいけない。民法の基本ができていないことを露呈してしまいます。
<小問2>
・特別利害関係ある取締役が取締役会の審議に参加できるか,議長ができるかにつき,369Ⅱを直接の根拠として片づけてしまう答案がありました。369Ⅱは,「議決に加わることができない」としか規定しておらず,審議に参加できるか,議長ができるか,については言及していません。だからこそ,問題になるのです。この問題の所在を押さえましょう。
【第2問】
<小問1>
・「特に有利な金額」の解釈につき,公正な発行価額よりも低い金額という抽象的な規範は出てくるが,下位規範が出てこない答案が多数。「公正な発行価格よりも…」だけではやはり弱いので,ここは下位規範も提示したい。あてはめの指針のためにも確認を。
・「特に有利な金額」の解釈にあたって,有利発行の場合に特別決議を要求する趣旨として,債権者保護を挙げる答案があった。有利発行が行われても,会社には金が入ってくるのだから(出ていくことはない)債権者との間では問題を生じません。株主間で問題を生ずるわけです。
・設問の事例が,公開会社での事例であること意識できていない。公開会社では,新株発行(資金調達)は業務執行に準ずる行為と言えるので,だから特別決議を経ていなくても有効になるのです。最判平成24年4月24日(レジュメ24頁)をよく確認してください。
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