Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

「戦時国際法」を形骸化させないために

2007-07-10 | 歴史認識
 アメリカによる広島と長崎への原爆投下について「さらに何百万人もの日本人の命を奪うところだった戦争を終結させることができた」と述べたロバート・ジョゼフ特使の発言について、某所で、こんなコメントを、見つけました。

しいて言うのなら、米国のロバートさんの考え方は正しいと思うし、正論を述べているとよ。

言い返せば、『アジア解放の為の戦争」と言う日本の主張が中国や韓国に受け入れられないのも、アメリカの主張する原爆正統説が日本人に受け入れられないのと同じ理屈でしょうね。

自分たちの正義感を貫かないで戦争など出来ますか。

世の中には不正義の戦争など存在しないませんから。

軍人、民間人問わず凄惨な目に遭おうとも、己の信念を貫いて自国を勝利に導くのが戦争と言う物です。

一度戦争を起こした以上は和睦をしない限り徹底的に相手を打ちのめすのが戦の本分ですよ。


 日本には日本の正義があり、アメリカにはアメリカの正義があると言いたいのでしょうけど、この人の頭の中には、「戦時国際法」という観念がすっぽりと抜け落ちています。

 戦争を知らない日本人は、「戦争=ルール無用の殺し合い」と思っている人が多いですが、それは間違いで、戦争時においても、一定のルールというものがあり、交戦国はこれに従わないといけません。

 この「戦時国際法」というのは、一般住民を巻き添えにした戦争が、どれほど悲惨なものかということを反省材料にしてできたものであり、一般住民に対する殺戮を禁じています。これにアメリカは明白に違反しているのです。

 ルールというものは守るためにあるもので、違反者をバッシングしなければ、ルールそのものが形骸化していきます。

 「戦時国際法」を有名無実なものにしないためには、無差別じゅうたん爆撃や原爆投下のような「一般住民に対する大量殺戮」を合理化するあらゆる言い訳に対して、厳しく非難することを続けていかなければいけないのです。

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4 コメント

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これは・・・ (鮎川龍人)
2007-07-10 02:18:12
お久しぶりです(とはいえ毎日拝読させて戴いてますけれど)。
私のところのコメント欄ですね。
そんなに詳しく読んで戴いて恐縮です。
おっしゃる事、良くわかります。
アメリカと対峙して行く時、最も重要なポイントですよね。
国際法の問題。
何しろ彼らは法治主義を(実は形式的にですが)一つの旗印にしているわけですから。
民主主義も同様ですね。
実は真の(論理的に整合性のある)民主主義は人種差別と相容れないわけですから、日本のような国は、徹底的にこれを主張してアメリカの欺瞞を暴くべきだと思います。

同盟国、友好国としての礼儀、社交辞令は当然行うべきですが、国家というものの存立を正当と認めるためには、理念における純粋性を守らなければならないと言うのが私の立場です。

ではまた、宜しくお願い致します。
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Unknown (j.seagull)
2007-07-10 10:40:25
こんにちは。
原爆が「戦時国際法」違反なのはたしかだと思いますが、それを言うならば日本が大陸でやった重慶などの都市爆撃も同様となってしまいますよね。それ以外にも日本は俘虜の扱いなど相当「戦時国際法違反」はやらかしていたわけですから、原爆についてアメリカに「戦時国際法違反だ」と言っても効果は薄く、ブーメランが帰ってくるだけのように思いますが。
1930年頃からは、結局どの国も「戦時国際法」など軽視(無視?)するようになってしまったように思います。
日露戦争の頃は第三国から観戦武官が来ていて、まだ外交の延長としての戦争という体裁があったようですが、兵器の発達と憎悪や民族蔑視、帝国主義等でめちゃくちゃな戦争になってしまったのかな、と・・・。
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Re:これは・・・ (上田真司)
2007-07-12 11:47:06
鮎川龍人さん、コメントありがとうございます。

>私のところのコメント欄ですね。
>そんなに詳しく読んで戴いて恐縮です。

勝手に引用させてもらいました。どうも。

>実は真の(論理的に整合性のある)民主主義は人種差別と相容れないわけですから、日本のような国は、徹底的にこれを主張してアメリカの欺瞞を暴くべきだと思います。

建国以来、200年もの間、自由と平等をうたいながら、1970年代ごろまで、黒人差別を行っていた国がアメリカです。

彼らは高い理念をもって他国を批判する一方、自らの酷い現実をごまかそうとする卑怯な論理を展開するのが常です。

彼らの一方的な論理に振り回されると、日本が損をするだけです。
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「戦時国際法」というのは、戦時下にある国民を守るためのものです (上田真司)
2007-07-12 12:42:58
j.seagullさん、、コメントありがとうございます。

>原爆が「戦時国際法」違反なのはたしかだと思いますが、それを言うならば日本が大陸でやった重慶などの都市爆撃も同様となってしまいますよね。それ以外にも日本は俘虜の扱いなど相当「戦時国際法違反」はやらかしていたわけですから、原爆についてアメリカに「戦時国際法違反だ」と言っても効果は薄く、ブーメランが帰ってくるだけのように思いますが。

このエントリーは、「日本は、戦時国際法を順守した」という前提で書きましたが、この前提自体が、正確さを欠いたことをお詫びします。

一応、日本を擁護するなら、日本の「重慶などの都市爆撃」とアメリカの「東京大空襲や原爆投下など」を比べると、質、量ともに比較にはなりません。

また、戦後の対応に目を向けると、日本の場合は、被害を与えた中国に対して、何度も謝罪し、賠償し、いわゆる戦犯という人身御供を送ったわけですが、アメリカの場合は、被害を与えた日本に対していったい何を行ったでしょうか。アメリカは、日本に一度でも謝罪したでしょうか。原爆投下に関し、日本政府または、日本国民に対し賠償を行ったでしょうか。東京大空襲を命じた指導者に対して処罰を行ったでしょうか。

戦後の、日本の中国に対する態度と、アメリカの日本に対する態度は、著しく非対称ではないでしょうか。

「日本は被害を与えた国だから、被った被害に対して泣き寝入りをすべきだ」というような考えはおかしいと思います。(j.seagullさんの意見が「泣き寝入りをすべきだ」という意見だと言っているわけではありませんが)

もっと、根本的な話をするなら、「戦時国際法」というのは、戦時下にある国民を守るためのものです。その国家がどのような非道を行っていようが、個々の国民に直接の責任はありません。たとえば、北朝鮮が戦争時に「戦時国際法」を犯したとしても、北朝鮮国民に対して「戦時国際法」を犯してもいいという話にはならないでしょう?

>1930年頃からは、結局どの国も「戦時国際法」など軽視(無視?)するようになってしまったように思います。
>日露戦争の頃は第三国から観戦武官が来ていて、まだ外交の延長としての戦争という体裁があったようですが、兵器の発達と憎悪や民族蔑視、帝国主義等でめちゃくちゃな戦争になってしまったのかな、と・・・。

とはいえ、 最近では、アメリカも、国際世論を気にして、「戦時国際法」を守る姿勢を見せています。

なんにせよ、「戦時国際法」は、無力な一般国民が、戦争という巨大な暴力に立ち向かう際の有力な武器となるものです。決して、形骸化させてはいけません。


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