日記帳

簡単HPが閉鎖されたので、こちらに乗り換えます!

Book Review No.269「聖徳太子 日と影の王子」

2009-05-16 | 読書
黒岩重吾 著(文春文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆☆☆

読書レビューが随分と間が空いてしまったのは、全四巻の本作を読み終えるのに随分時間がかかってしまったため。
古代史を舞台にした小説は初めてだったので、まずその登場人物の名前のややこしさと相関図の複雑さに面食らった。
この時代の天皇家の婚姻関係の入り乱れ方といったら・・・新しい人物が登場するたびに系図に戻らなければいけないという感じ。
ただ、当時の奈良・飛鳥の風土や歴史的に曖昧な部分の解説等著者の説明が詳細なので、慣れてくれば世界に入り込むことができた。

聖人君子の見本のようにいわれる聖徳太子も普通の人間だった・・・
当たり前の話だが、本当の太子像に向き合った人は少ないと思う。
普通の人間として危うい青年時代を過ごし、時には女性問題で悩みながら優れた人物へと成長を遂げる人間・聖徳太子を実に魅力的に描いている。

そして、単なる悪役として描かれがちな蘇我馬子の描写も公平な視点。
太子と馬子の暗闘ぶりは、あまり表に現れてこないだけにすさまじく、現代の政争を思わせるものがある。
そう考えると、人間は太古の昔から似たようなことばかり続けてきたんだな・・・と思ってしまう。


最新の画像もっと見る