Book Review No.271「落日の王子」

黒岩重吾　著（文春文庫）
＜評価＞
感動度：☆☆☆☆
知識度：☆☆☆☆☆
娯楽度：☆☆☆
難易度：☆☆☆☆


先日の聖徳太子と同じ作者による、蘇我入鹿を主人公とした歴史小説。
前作同様詳細な歴史調査を踏まえ、悪役としてしか描かれる機会がなかった入鹿を人間臭く魅力的な人物として活躍させている。
正史を踏まえつつも微妙にフィクションを盛り込んでおり、そのさじ加減が絶妙で上手い。
また、独自の価値観を持ち、時代に迎合せずに滅びていった聖徳太子の息子・山背大兄王の存在も興味深かった。
今までは「悪者に殺された悲劇の人」というイメージしかなかったが・・・。

それにしても、聖徳太子の感想とかぶるけど、いつの時代も政治の舞台はドロドロで魑魅魍魎の世界という感じだな・・・。