日記帳

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ドラマ「秘密」最終回

2010-12-12 | 日々つれづれ
ドラマ「秘密」を見終わりました。
途中は原作にもはない部分もかなりありましたが、最後はほぼ原作どおりでしたね。
細部は多少違ったけど、明確には説明しきらず読者(視聴者)に結論をゆだねる感じなのも原作どおり。

最後にウエディングドレス姿の藻奈美と平介が見詰め合うシーン。
あれなんかは映像ならではですねえ。
活字だけだとちょっと表現しきれない。

あと、バージンロードを歩いている最中に平介が結婚指輪を外していましたが、あれは原作にはないシーンだけど実に良かった。

ただ、第八話ぐらいから、「ちょっとすっ飛ばしすぎでは?」という感もなくもなし。
序盤はあまり話に進展がなくて、原作と違う路線に向かうのかと疑ってしまったぐらいなので。
担任の先生とか加害者運転手の奥さんとか藻奈美の親友とかって、原作ではさほどのエピソードが出てこないけど、ドラマでは随分「枝葉」の話が多かった気がします。
それが悪かったわけではないけど、結構大物俳優を多く使ったのである程度は登場シーンを確保しなきゃいけなかったのかな、などという邪推をしてしまいました。

しかし、まあ、金曜深夜という時間帯によくこれだけのキャストをそろえたな、という感じですね。
前にも書きましたが、志田未来ちゃんと佐々木蔵之介さんは本当に演技が素晴らしい!
すっかり二人のファンになってしまいました。

Book Review No.339「木漏れ日に泳ぐ魚」

2010-12-10 | 読書
恩田 陸 著(文春文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆☆☆

舞台はマンションの一室、登場人物は二人、時間的には一晩の物語・・・「白夜行」の後に読むとあまりに好対照なスケールに戸惑ってしまう。
主体が主人公の男女それぞれ交互に切り替わり、丁寧に心情を表現しているのがおもしろい。
これもまた主人公の主体的な心理が全く出てこない「白夜行」とは好対照なのだが・・・。
何か直前に読んだものがあまりに印象が強過ぎて、それに飲まれてしまった感が否めない。
日を空けてからもう一度読んでみるかな・・・。


Book Review No.338「白夜行」

2010-12-05 | 読書
東野圭吾 著(集英社)

<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆
難易度:☆☆☆

凄まじいペースで著作を量産している東野圭吾だが、代表作と言うと「手紙」、「秘密」そしてこの「白夜行」ではないか?
手にとって、文庫本だというのにその分厚さにまず驚かされる。

しかし、分厚く長大な物語にもかかわらず、全く読者を飽きさせることのないストーリー展開はさすがの一言に尽きる。
主人公の主観的な心情が語られることがないというのは、例のないパターンではないだろうか?
他の東野作品にも共通することだが、ラストはハッピーエンドでないことはもちろん、必ずしもすべてが明らかにされず、読者の想像にゆだねる・・・という傾向が特に強い。
「手紙」、「秘密」もそうだったが、読み終わった後数日は頭の中に余韻が離れない一冊だ。


Book Review No.337「永遠の0(ゼロ)」

2010-11-27 | 読書
百田尚樹 著(講談社)

<評価>
感動度:☆☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆☆
娯楽度:☆
難易度:☆☆☆

今年も残すところあと1か月少々となったが、2010年に読んだ本BEST1は、本作であることはまず間違いない。
久しぶりに素直に「感動した。」と言える小説に出会った感がある。

特攻隊で命を落とした祖父の足跡を、その孫たちが探る・・・という展開で話は進んでいく。
つまり、「永遠のゼロ」の「ゼロ」は、零戦の「ゼロ」である。
主人公は実質的には亡くなった祖父で、多くの語り手たちの手によってその実像に迫っていく。
読者としては、結末が予め示されている中で読み進めていくことになるため、後半にいけばいくほどあまりに魅力的な祖父の人物像に「何とかならなかったのか」というもどかしい思いに包まれることになる。
一人の語り手につき、一章という展開で、その一章一章が独立した一つの物語として成立するぐらいの中身の濃さのため、読んでいる最中は「ヘタに孫たちを出して、現代の話なんか出す必要はなかったのでは?」と思っていたが、最終章で意外などんでん返しがあり、すべてが氷解するということになる。

小説としてのストーリー展開、ノンフィクションを思わせるような精緻な調査等、すべてが秀逸である。
戦後生まれの作者がよくこれだけのものを書けたなということに驚嘆してしまう。


ドラマ「秘密」にはまっております。

2010-11-20 | 日々つれづれ
久々にテレビドラマにはまっております。
テレ朝で金曜日23:15からの「秘密」

金曜日の夜って子どもが生まれる前は仕事してるか飲んでるかで家にいるなんてことはほとんどなかったんですが、今はこの時間なら基本的に家にいてお風呂も寝かしつけもすべて終わってのんびりしている時間なのでちょうどいいのです。

「秘密」・・・原作は2年前に読みましたが、ジャンルとしてはミステリーになるんですかね?
有り得ない話だけど、ファンタジーって感じではないし・・・。
とにかくラストが大どん返しで衝撃的でした。
今6話まで終わった段階では登場人物の年齢等に違いはあるものの、大筋としては原作を倣っているのでラストも同じ展開なのかな?

結末を知っているにもかかわらずはまってしまうのは、何といっても主役の志田未来ちゃんと佐々木蔵之助さんの演技の秀逸さでしょう。

未来ちゃんは凄いですね。
17歳で「38歳の母親の魂が宿った娘」という設定をあれだけ違和感なくこなしてしまうとは・・・。
子役として有名なので知ってはいましたが、実に素晴らしい。
ただ、子役として名声を得た人たちは大人になって路線が微妙になっている人が多いのもまた事実なので(安達祐実とか奥菜恵とかね・・・)方向性を誤らないでほしいですね。

一方の蔵之助さん。
こちらも名優として名が知られた存在ですが、実にいいです。
特に表情で語る演技が素晴らしい。
固まるシーンとか、目を見張るシーンとか。
こちらも原作のイメージピッタリです。

それにしても、東野圭吾の作品ってどれだけ映像化されているんでしょうか?
舞台が外国とか僻地とかでなく、天変地異も起こらず、わりと日常の中の物語でありながら、スピード感があり、どんでん返しがあり・・・とドラマ・映画化しやすい作品が多い気がします。
というより、初めて東野作品を読んだのは手紙だったかガリレオだったかよく覚えていませんが、「ドラマみたいな小説だな・・・。」という印象を持ったし。

さて、今後ドラマ「秘密」は原作に忠実に進むのか、それとも違った展開にするのか、はなきんの夜の注目にしたいです。

Book Review No.336「でいごの花の下に」

2010-11-14 | 読書
池永 陽 著(集英社文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆
娯楽度:☆
難易度:☆☆

沖縄戦を背景にした「純愛小説」ということだが、「純愛」というにはあまりにも暗く、凄絶な話が多い。
著者は沖縄出身というわけではなく、そうであるのにとてもよく沖縄のことを理解しているなという感じがあるが、やはり本土出身者ゆえの若干の押しつけがましさみたいなものを感じたのは私だけだろうか?
あまりにも沖縄戦と現代を強引に結び付けすぎている感があった。

とは言え、一貫して救いがない展開でありながらも最後は希望が持てる終わり方で終わる。
主人公の行動といい、亡くなった恋人の行動といい、必ずしも共感できないが、そう思われることを想定しながら描かれている感もある。
作者としては問題提起の意味合いが強い小説なのかもしれない。


Book Review No.335「「怖い絵」で人間を読む」

2010-11-14 | 読書
中野京子 著(NHK出版)

<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆☆
娯楽度:☆☆☆☆
難易度:☆☆☆

およそ絵画に造詣が深いとは言い難い私にとって、絵画が主題を主題としている本を手に取るというのは非常に珍しいことだが、ちょっと立ち読みして思わず購入してしまった。
1,100円と値が張るにもかかわらず。

「人間を読む」と銘打っているだけに、絵画の手法等の話はそこそこに専ら絵の背景や歴史、登場人物像などに重点が置かれている。
軽妙な語り口の文体と資料の豊富さもあいまって、絵画に関心がなくてもおもしろく読み進めることができる。
海外の有名美術館に行く前に必読の著と言えるかもしれない。


Book Review No.334「追伸」

2010-10-28 | 読書
真保裕一 著(文春文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆

全編が手紙の往復による小説・・・となると、宮本輝好きとしては、どうしても「錦繍」と比べてしまうのは致し方ないところか。
そして、やっぱり「「錦繍」のほうが上!」と断じたくなってしまうのも、これまた致し方ないところ。

やはり、舞台が現代なのにメールでも電話でもなく手紙のやり取りというのが若干無理がある。
そういう点では、Ⅱの主人公の祖父母のやり取りのほうが自然だ。
・・・というより、この小説は、完全にⅡがⅠ・Ⅱを食っているように感じたのは私だけだろうか?
むしろ、Ⅱのエピソードだけで一冊書いたほうが良かったのではないかと思ってしまう。
戦前・戦後の激動の時代の行き抜いた祖父母の話の後に、現代の話が出てくるとどうしても小さく皮相な感じがしてしまう・・・。

Book Review No.333「音もなく少女は」

2010-10-24 | 読書
ボストン・テラン 著(文藝春秋)

<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆
難易度:☆☆☆☆

洋書は久しぶりに読んだ気がするが、正直、この手のやたらと血が流れる話はあまり好きではない。
結末も私としては、「そうであってほしくないな・・・。」という流れだった。
こういう結末で何となくハッピーエンド気味にしてしまうのは、日本の発想ではないんじゃないかな?

とは言え、共感できる部分がなかったというわけではなく、不幸に見舞われながらも前向きに生きる女性たちの姿に心打たれた。(一方で男性はろくなのが出てこない・・・。)
プロローグから主人公の年代別に一~三話とつながる構成も秀逸。

BooksReview No.332「オレンジの壺」

2010-10-08 | 読書
宮本 輝 著(講談社文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆☆
娯楽度:☆☆☆☆
難易度:☆☆☆

60年以上前に書かれた祖父の遺品の手紙を読み進めることによって過去の物語をつむいでいく本作のジャンルは、ミステリーなのか時代小説なのか恋愛小説なのか・・・?
謎が謎を呼ぶ息もつかせぬ展開で一気に読ませるが、結局その謎はほとんど解決されないまま読者は放りだされてしまう感じ。
読み終わると、喉の奥にモノがはさまったようなもどかしい感じが残るが、あとがきを読む限りそれを狙ったと言う感もある。
作者も取材の過程で現実に対して同じような感じを受け、歴史というのはそういうものだと言いたかったと私は感じた。

やっぱり、宮本輝は圧倒的におもしろい。