眼の特性
2010-04-26 | パパ
人類の祖先は最初、樹の上に住んでいたようだ。彼らはわれわれにくらべると身体能力はずば抜けていたに違いない。しかし、それだけでは樹の上では生活できない。何故なら、樹から落ちないようにするためには、自身と対象との距離を把握して樹から樹へ飛び移ることができる能力が必要になるからだ。顔の正面に2つある眼は、それを可能にする。右の眼と左眼から同時に入る対象の情報は、脳によって演算され(右の眼から入る映像と左の眼から入る映像を合成)、距離として身体を通して空間的に認識される。トロンプ・ルイユ(だまし絵)の画家エッシャーは、そのような眼の特性を欺き、空間認識を錯乱させる絵を制作する画家であった。
人類の祖先は、樹から下りて地上で生活するようになると、まず狩りを始めた。ここにも眼の特性が影響しているらしい。というのも、狩りが、獲物との間合いを徐々に詰めながら、一瞬のすきを見計らって相手に飛び掛る行為だからである。獲物の側もそう易々と捕まって食べられてはたまらないので、敵をすばやく発見し逃げる体勢をとれる360度の視野角を、手に入れることになる。それは、右の眼と左の眼で同時に別々の対象の情報を入力し、脳で360度のパノラマとして展開させるものであり、距離感覚を犠牲にしてでも手に入れなければならない能力であったのだろう。昆虫の世界では、カマキリも眼が顔の正面にあり、獲物との正確な距離感覚と体をぴたりとも動かさないバランス感覚を武器に狩りを行っている。
今、巷では3Dテレビが新たな経済の起爆剤として脚光を浴びている。対象との距離を把握するための実用的な眼の働きは、遠く離れた実体との距離をバーチャルに圧縮するために器械によって欺かれる。エッシャーのだまし絵のように。
人類の祖先は、樹から下りて地上で生活するようになると、まず狩りを始めた。ここにも眼の特性が影響しているらしい。というのも、狩りが、獲物との間合いを徐々に詰めながら、一瞬のすきを見計らって相手に飛び掛る行為だからである。獲物の側もそう易々と捕まって食べられてはたまらないので、敵をすばやく発見し逃げる体勢をとれる360度の視野角を、手に入れることになる。それは、右の眼と左の眼で同時に別々の対象の情報を入力し、脳で360度のパノラマとして展開させるものであり、距離感覚を犠牲にしてでも手に入れなければならない能力であったのだろう。昆虫の世界では、カマキリも眼が顔の正面にあり、獲物との正確な距離感覚と体をぴたりとも動かさないバランス感覚を武器に狩りを行っている。
今、巷では3Dテレビが新たな経済の起爆剤として脚光を浴びている。対象との距離を把握するための実用的な眼の働きは、遠く離れた実体との距離をバーチャルに圧縮するために器械によって欺かれる。エッシャーのだまし絵のように。