畑倉山の忘備録

日々気ままに

裁判官のヒエラルキー

2017年06月03日 | 国内政治

日本の裁判所の最も目立った特徴とは何か? それは、明らかに、(最高裁)事務総局中心体制であり、それに基づく、上命下服、上意下達のピラミッド型ヒエラルキーである。(中略)

頂点には、最高裁長官と14名の最高裁判事がいる。(略)次が高等裁判所長官。全国に8名おり、序列は、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松の順であると思われる。なお、東京、大阪の高裁長官は、それ以外の高裁長官よりも最高裁入りすることが多い。

次が東京、大阪等の大都市の地家裁所長(同じ場所の地裁は家裁より格が上。なお、裁判所法上は、最高裁判所以外の裁判所の裁判官の種類は、高裁長官、判事、判事補、簡裁判事だけであり、地家裁所長は、司法行政事務の総括者にすぎない)と東京高裁の裁判長、少し後れて大阪高裁の裁判長であろうか。(中略)

次がそれ以外の地家裁所長とそれ以外の高裁裁判長。そして、高裁支部長と地家裁大支部の支部長。次が地家裁裁判長と高裁の右陪席。その格付けには全国でかなり大きな差がある。次が高裁の左陪席と地家裁の右陪席。最後が地家裁の左陪席となる。大支部以外の地家裁支部長は地家裁右陪席クラスまで広がる。(中略)

こうした、相撲の番付表にも似た裁判官の細かなヒエラルキーは、裁判所法をみても決してわからない。日本の裁判所がおよそ平等を基本とする組織ではなくむしろその逆であることは、よくよく頭に入れておいていただきたい。

(瀬木比呂志『絶望の裁判所』講談社現代新書、2014年)