10月15日(土曜日 曇り→晴→雨) (その3)
つづき
「弧廻手形」には、「駅の名前読める?」と書いてあった、「笠上黒生」駅です。
懐かしい感じの駅名標です。
この駅で、銚子行きの電車と行き違います。向こうは1000型電車、もとは東京メトロ銀座線で走っていた2000系です。タブレットの交換まで見ることができるとは、思ってもみませんでした。
タブレット交換
銚子電鉄のタブレット交換はちと変わっています。タブレットだけではなく運転手ごと入れ替わるのです。こうやって、互いの電車の乗務員室ドアの部分を、ピタリと合わせて停車します。(写真に写っているのは対向列車です。)
タブレット:鉄道保安のための仕組みの一つ。「タブレットを持っている列車以外、この区間には入れない。」という約束事を設けて、列車同士の衝突を防ぐ。(1つの区間には1つのタブレットしかない。)
ATS(自動列車停止装置)などの普及で、現在でも見ることのできる場所は非常に少ない。
たくさんのお客さんがここで降りました。一時の賑わいでした。電車は、ここでぐっと空きました。
笠上黒生駅の次の、西海鹿島駅。 (ドアが開いている間に急いで撮影)
速度計が見えなかったので(装備されていないのかもしれません)分かりませんが、速度は40Km/hも出ていなかったでしょう。この電車は、早く走るのはもったいないです。
海が見えてきました。
犬吠埼に近い犬吠駅で下車しました。ヨーロッパ風(ポルトガル調らしいです。)の、思いのほか立派な駅でした。中には売店があり、駅を出ると廃車体を使った喫茶店もあります。
早速、暗くならないうちに犬吠埼へ向かうことにしました。車道を歩いて、10分弱で着きました。
灯台の入場時間は4時までとのことで、残念ながら今日は入れませんが、案内に入場料ではなく、なぜか「寄付金」とあるのが意外です。
参観案内
灯台の見学については、航路標識事業に対する皆様のご理解を深めて頂く趣旨で、国 においてもできるだけ便宜を計って(「図って」の誤り?)おりますが、多数の見学者の整理案内につきましては、国では対応することが困難を極めておりますことから、社団法人燈光会がこの仕事をお引き受けしております。見学される皆様の安全確保や構内の清掃等の経費として次の寄付をお願いしておりますので、ご協力下さいますようお願い致します。
なるほど、そういう社団法人があるんだなと思うだけですが、一応記載しておきました。入場料は150円(子供は20円)と大変安いです。
灯台は明治7年に完成、点灯したものです。見上げると、大きなミラーボールのようなものが光って、ゆっくりとぐるぐる回っているのが見えます。
犬吠埼灯台
岬は、果てまで来たという感じはあまりしませんでした。ですが、迫力あふれる波が、一気に岩に砕け散っていきます。もう陽が沈んでいますが、とても見応えがあります。
遊歩道があって、灯台の周りを一周できます。常に海水の動きが激しいのか、海岸の石は浸食されてつるつるになっていました。
最後に駅に戻り、先程の喫茶店に立ち寄りました。店の名前は「かふぇ・ど・えがお 福祉喫茶」とあり、障害者の方に働く場所を提供しているということ。就労支援の場なのです。この日は皆さん遠足に出かけたようで、店にはマスターしかおられなかったのですが。
マスターは、月曜日から金曜日までは別のNPO法人の仕事をしており、福祉喫茶の方は完全なボランティアです。「自分が楽しくないとボランティアは続かないです。」つくづくその通りだと思いました。しきりに笑顔で、「店員さん(障害者の方)がいるときにまたいらっしゃって下さい。」と言っておられたのが印象的でした。
この喫茶店、もとはレストランだったのにつぶれてしまい、しばらくの間ほったらかしにされていたのが「福祉喫茶」になったそうです。今の福祉喫茶にしても、本当はボランティアではなく、然るべき金をかけて運営するべきだと思うのですが、かなわぬことでしょうか。
色んな人が銚子電鉄を支えているのです。
内部はきれいに改装されており、現役だった時の面影のようなものは少ないのですが、運転台がそのまま残っています。
ちなみにこの喫茶店、2両の廃車体をくっつけて使っています。1両はもと銚子電鉄の デハ501型、そして1両はなぜか銚子電鉄のものではなく、相模鉄道で走っていたモハ2000型です。
おそらく、また来ることになるでしょう。今度は、全部の駅に降りてみたい気持ちです。本当は、今日もっと早起きすればよかったのですが、また来る楽しみを与えてくれたと思うことにします。たい焼きを売っている駅もあり、車庫で小さな機関車と一緒に記念撮影ができる駅もあります。近くにある醤油工場の見学も楽しそうです。「2回目に行ってみたら、印象が全然変わっていた」という経験はよくありますが、ここ銚子に関しては今日と変わらぬ印象をまた与えてもらえることを期待したいです。
行きが総武本線だったので、銚子からの帰りは成田線で帰りました。行き帰りが同じなのはつまらないと思いそうしたというだけです。成田駅では、成田山の大きな提燈が、ホームの上につりさがっていました。
電車に乗っていると小雨が降ってきました。市川駅に着くと、傘なしでは家に帰れないくらいに降っていました。