列車の車窓は心の窓

我が家の住人は電車がとても好きなので、車がありません。電車とバスで出かける日本の旅

209系試作車

2005年10月18日 | 日帰り旅行と日記

10月18日 (火曜日・

 朝から激しく雨が降っています。
 仕事の都合で田町へ行くことになっており、秋葉原で京浜東北線のホームへ行くと、やって来たのは209系の試作編成でした。

       

 JRが国鉄だった時から、新型車両の試作車には900番台を割り当てる決め事となっており、この209系の他にもいくつかの900番台が走っています。しかし、900番台を使わずにいきなり1番から始まっている系列(205系など)もあります。(中央線「スーパーあずさ」用特急車E351系の場合、何故か試作車は1000番台に区分されています。)
 209系の試作車は3本(900番台、910番台、920番台)存在し、登場した時には209系ではなく901系と呼ばれていました。当時の新機軸を多く採用したこの車両は、「価格半分・寿命半分・重量半分」をキャッチフレーズにしており、他の2つはともかく「寿命半分」とは何だ?と、登場した当時は訝しげに思ったものです。

                     

 当然、最初から使い捨てにするつもりでこの電車が造られたとは思えません。しかしながらこの言葉には、JR東日本の鉄道車両の寿命に関する考え方が表れていると考えられるのも事実です。少なくとも従来のように、鉄道車両を長い間にわたって補修や改造を行いつつ使い続けるというスタンスではなくなっていると思われます。
 現在の我が国では、鉄道会社間の違いはあるにせよ、概ね30~40年のサイクルで新型車両への取替えが行われています。しかしこれは、大規模な補修工事や改造を行った上での30~40年であることが殆どであり、補修なしには、30年以上にわたって車両を使い続けることなどできないでしょう。このような補修を「延命工事」と呼んでいる会社があるくらいです。
 とすれば、鉄道車両の本来の寿命は30年よりもっと短いと言えなくもありません。まさにJR東日本は、ここでいう「本来の寿命」に従って古い電車を新車へ置換えるスタンスへ転換したのです。「寿命半分」という言葉の意味は、「寿命を延長するための工事はしない」ということであると思われます。新車の製造にあたっても、「延命工事」のような修繕は行われないことが大前提となるでしょう。そして、実際に209系が廃車される時になって初めて、JR東日本の考える、鉄道車両の適正な寿命年数が明らかにされるのです。

          

  さて、今日乗った試作編成について。真中に2両、外観や内装が他と明らかに違う車両が混じっています。窓の真中に黒い棒がある他、車内の蛍光灯が枕木と平行に取り付けられています。
 このような蛍光灯の配置をする車両は大変珍しく、斬新な感じがします。照明がちょっと暗い感じですが、見慣れないせいもあるのでしょう。しかしこの2両、内装が安っぽくて、喫煙車両でもないのに黄ばんだ印象を与えるのと、本日は前述通り大雨だったのですが、窓の結露が他の車両に比べてかなりひどいのが気になりました。
 ちなみにこの2両はJR東日本の大船工場(現在の鎌倉総合車両所)で製作されており、自社製作という点でもテスト的な要素の強い車両でした。この時のテストは大きな実を結び、現在は大船工場ではなく新潟県の「新津車両製作所」で、2000両以上に及ぶJR東日本用車両の本格的な量産が行われるに至っています。

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