Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

本当に他人事ですか?

2006年05月30日 23時53分48秒 | 時事・社会
広島の男性を誤認逮捕 神奈川県警 殺人未遂で8日拘留
                        (中国新聞 5月30日朝刊)

 神奈川県警は29日、2002年に横浜市で発生した殺人未遂事件で、
青葉署が22日に逮捕した広島市のとび職の男性(40)について、事件
と無関係と判明したため釈放したと発表した。
 男性は「身に覚えが無い」と否認したが、8日間拘留されたという。
 県警によると、02年8月31日未明、青葉区荏田町の市道に止めた
乗用車内で、運転席にいた東京都世田谷区の無職男性(42)が後部
座席の男と口論になり、刃物で脇腹を刺され重傷を負った。事件当時、
車には女性2人も乗っていた。刺された男性と男女3人は知り合った
ばかりだったという。
 青葉署は女性の証言などから容疑者を広島市の男性と断定。同年
12月に殺人未遂容疑で逮捕状を取った。今月22日に男性を広島市
内で逮捕したが、その後の捜査で、事件当日は広島県内にいたこと
が判明した。
 県警の黒木一郎刑事総務課長は「関係者に心からおわび申し上げ
る。再発防止のため指導を徹底したい」としている。


ニュースを注意して見ていると、誤認逮捕は頻発していることが分か
ります。以前にも外国人と間違えられて逮捕された女性について書き
ましたが、重大事件でもなければ緊急性も無い件で、裏も取らずに
警察が簡単に逮捕・拘留するケースが目立ちます。
今回の事件は、報道を読む限りでは、現場にいた女性の証言に問題
があったようです。男女3人もお互いをよく知らなかったのか、それとも
真犯人をかばうために偽証したのか、まだ分かりませんが、アリバイ
も確かめずに逮捕した警察の責任は厳しく問われなければなりません。

政府与党が成立を目指している「共謀罪」には、共謀に加わった者が
自首して計画を自供すれば罪には問わない、という「密告奨励」制度
か設けられています。
政府が「念頭に置いている」とする、暴力団や過激派、テロ組織など
で、この「密告」が期待できるかというと、共謀だけではせいぜい数年
の懲役ですぐ出てくるし、組織も敵に回すことになるわけで(もちろん
警察は密告者を守ってはくれません)、まずありえないだろうというの
が、現場の警官の率直な意見です。つまり、当初の目的はどうであれ、
実際に適用されるのは労働組合や市民団体などになる(さもなければ、
誰にも適用されなくなる)のは明らかです。
そもそも「共謀」の事実を証明すること自体が大変難しいことは、少し
考えれば分かると思います。共謀がまだなされない段階で既にマーク
している、というのは普通ありえない(あってはならない)話で、盗聴や
潜入は本来不可能な筈です。それにもしそれが許されるとして、そう
した手段で当局が確かな情報を得ていれば、共謀罪が無くても、犯罪
を未然に防ぐことは可能である筈です。つまりは、「密告奨励」こそが
「共謀罪」創設の主眼なのです。
「悪いことしなきゃいいんでしょ?」と他人事のように考える人がまだ
多いようですが、それを判断するのは自身ではなく警察や裁判所で
ある、というだけでなく、偽証や言いがかりによって身に覚えの無い
罪に問われる危険性が生じるのが、この「共謀罪」です。何せ、犯罪
行為に直接関与していなくても、そもそも行為自体がなされてなくても
いいわけですから。
そして、上のニュースをはじめ、数々の「事件」が教えてくれることは、
警察はあなたや私の「無実」の証明のために動くわけではなく、むしろ
疑ってかかるのだということです。

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