Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

夕陽

2006年05月29日 23時53分42秒 | 音楽
「夕陽」と聞くと、中学時代の友人S君を思い出します。
彼の実家が「ドライブイン 夕陽」という名の食堂だったので。
国道202号線沿いに今もあるその店には、まだS君と出会う
前の子どもの頃に、何度か立ち寄りました。有料バイパス
ができてからは、店の前を通ることも無くなりましたが。

『落日燃ゆ』という小説もありましたね。城山三郎でしたか。
主人公の広田弘毅は、高校の大先輩に当たります。別に
尊敬はしていませんが。相対的には罪は軽かったと言える
かも知れませんし、絞首刑はいわば「貧乏くじ」だったかも
知れませんが、「咎無し」かというとそんなことはないわけ
で、特に同情もしていません。
以前にも書きましたが、私が高校のOBで誇りに思ってるの
は、夢野久作と中野正剛くらいです。

とまあ、全然音楽とは関係の無い前置きで、一体何の話か
と途惑われた方がいらっしゃったら、すみません。
昨日に引き続いて、チューリップの話です。

私が大学に入った'92年に、東芝が「音蔵」シリーズという、
'60~'80年代に活躍した所属アーティストの全アルバムを
CD化する企画を始めてくれました。
貧乏学生であまり余裕はありませんでしたが、チューリップ
のCDが店頭に並んでくれたおかげで、買って聴きたいと
いう思いが強くなり、やりくりしながら少しずつ揃えていき
ました。
最初に買ったのは、運命の出会いの曲が入った『ぼくが
つくった愛のうた』でした。次に『心の旅』、それから東芝の
「BIG ARTIST BEST COLLECTION」という企画盤。このCD
で「I dream」に出会いました。
その次に「星空の伝言」が聴きたくなって『Halo』を買おうと
思ったのですが、売り切れてたので、その曲を含むベスト盤
『青春の影1972-1986』を買って帰りました。このCDに収録
された2つの曲が、私のチューリップ熱を決定的にしました。
1つは「We Can Fly」。メロディ、ハーモニー、そしてプレイも
完璧といっていい名曲です。'82年の曲ですが、全く古さを
感じさせません。
もう1つは、まるっきり対極の曲ですが、「夕陽を追いかけて」
です。こちらは'78年のシングル曲です。同じ旋律の繰り返し
で全く盛り上がりが無いうえに、当時としては異例の、5分半
を超える長い曲。富澤一誠は「チューリップ自身ヒットを意識
して作っているとは思えないほどだった」と評しています。
でもこの曲を聴いて、私は泣いてしまいました。

♪しばらくぶりの ふるさとは
 大きな街に 姿をかえていた
 体をゆすって 走ってた
 路面電車は 今はもういない

福岡を離れていなければ、この曲に心を揺さぶられることは
無かったかも知れません。
望郷の念、帰らない日々の思い出、そして孤独感や将来へ
の不安。そうした私の心の中の様々な感情と見事にマッチ
して、とても大切な一曲になりました。

♪沈む夕陽は 止められないけど
 それでも僕は 追いかけてゆく
 沈む夕陽を 追いかけて
 死ぬまで 僕は追いかけてゆく

私もこういう不器用な生き方しかできないんだろうなぁ、と
思ったものです。でも、それでいいじゃん、一生懸命走って
いけば、と慰められました。

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