Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

狭量な健忘症

2007年08月30日 23時38分58秒 | 時事・社会
ゴシップ的時事ネタには基本的に触れないことにしておりますが、連日
メディアを賑わしている横綱・朝青龍関の騒動を見ていると、表題に掲げた
ような日本人の特性が如実に表れている気がします。
事の起こりは、名古屋場所で優勝後に腰の疲労骨折が発覚した横綱が、
夏巡業を休場して「療養のため」帰国中のモンゴルで、親善イベントで
サッカーに興じていたことが7月26日に明らかになったことでした。
相撲協会に提出された医師の診断書によると骨折と肘痛で「全治6週間」。
普通なら入院が必要な筈ですし、後に主治医は協会を通じて「肘は手術が
必要な状態」とコメントしています。協会の処分の軽重はともかく、帰国を
認めなかったのは、単なるペナルティではなく、「まずは怪我の治療が先」
という認識があったからと思われます。時間を置いてほとぼりが冷めたら
帰国を認める節が、当初見受けられました。ところが、ネタに困っていた
メディアが大騒ぎし、参院選の余勢を駆ってか(笑)世論も猛反発したため、
すっぽかされて激怒していた協会巡業部の強硬意見が通って、横綱は
「自宅軟禁状態」に置かれることになります。すると今度は「急性ストレス
障害」さらには「解離性障害」に。おまけに骨折はうやむやになり、肘も
通院治療で十分、と見解が変わりました。(自然治癒?)
そうこうしているうちに、同情論が広がって風向きが変わり、またモンゴル
の国民感情の悪化も懸念され、次第に孤立し始めた相撲協会は、迷走の
末にようやく帰国を認め、昨日横綱は出国しました。

結局「仮病疑惑」は晴れぬまま、というか協会自身、真相解明に本気で
取り組んだようには思えません。本人が「改悛の情」さえ見せれば不問に
付す、という処分が「重い」と逃げ出すなら、相撲界には相応しくないと
言っていいでしょう。(「横綱の資質」云々とは別次元で)
心の病にしても、どうも漏れ伝わる横綱の言動とは矛盾する点があって、
新たな「仮病」疑惑を生んでいますが、本人の問題ではなく、協会ぐるみ
の隠蔽工作なのではないか、という気もします。

「精神病」患者の犯罪や、裁判で「責任能力」が争われることに対して
批判的な声が昨今強まっていますが、「矯正」に主眼を置いたこれまでの
刑法・少年法体系にしろ、「懲罰」中心に転換するにしろ、「正常な精神
状態でない者に効果があるのか」という点をクリアしない限り、厳罰や
極刑も無意味かも知れません。ウソか本当かの確認が難しい部分もあり
ますが、被告の権利を守ることは人権の基本です。(この点は以前にも
書きましたし、そのうちまた触れたいと思います。)被害者本人や関係者
でもないのに「犯人憎し」に凝り固まる精神状態だって、「正常」といえる
かどうか・・・。
それでも「責任は取らなきゃいかん」と言うのなら、責任を取れる状態に
なるまで待つのが基本でしょう。
横綱の問題も、「モンゴルで十分休養して、心身ともに治ったら、改めて
処分を科す」としておけばここまでこじれずに済んだものを、と思わずに
いられません。

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