Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

「尊い犠牲」

2006年08月15日 23時53分47秒 | 時事・社会
大方の予想通り、小泉首相が靖国神社を参拝しました。
朝7時41分というのはちょっと意外でした。我が家は朝からテレビを
付けないので余計にそう思うのかも知れませんが、お盆休みという
こともあり、リアルタイムで見た人はそれほど多くないのではないで
しょうか。狙ったわけではないでしょうが。むしろ、政教分離に反する
との指摘を考慮して「公務に入る前の時間だから私的参拝だ」との
逃げ道を用意したのかな、と感じました。
靖国神社の参拝客が最近では最も多かったそうです。まさに「小泉
効果」、広告塔(「客寄せパンダ」のほうが適当かしら)です。靖国で
なければ立派な(?)スキャンダルになるところでしょう。中国・韓国
以前に、国内の他宗教信者が迷惑し、憤慨しているのです。良心的
な識者も国際政治的配慮からだけでなく、靖国神社そのものの抱え
る問題ゆえに批判しているのであって、別に中国・韓国に迎合・便乗
しているのでもありません。首相の参拝を支持する人たちはそうした
部分が見えていない、理解できていないように思います。
(そうした構造を理解できない人たちだから小泉首相を支持する、とも
言えますが。)

「これは毎回申し上げているのですが、日本は過去の戦争を踏まえ
反省しつつ、二度と戦争を起こしてはならない。そして今日の日本の
平和と繁栄というのは、現在生きている人だけで成り立っているの
ではないと。戦争で尊い命を犠牲にされた、そういう方々の上に今の
日本というのは今日があると。戦争に行って、祖国の為、また家族の
為、命を投げ出さなければならなかった犠牲者に対して、心からなる
敬意と感謝の念を持って靖国神社に参拝しております。今年もこの
気持ちに変わりはありません。」(総理インタビューより)


毎回同じ言葉の繰り返しで、いい加減聞き飽きました。こういうのを
「洗脳」と言うのではないのかな。韓国系の宗教団体ばかりを叩いて
いる場合じゃないでしょう。メディアもコメントを垂れ流すだけ。たまに
出演者が疑問を差し挟むとたちまち集中砲火を浴びる状況は、異常
です。
それにしても、「尊い犠牲」が「今日の日本を築いた」という理屈が
私には理解できません。「尊い犠牲」のおかげで日本は無条件降伏
できて、米国の庇護の下、戦後の復興・発展を成し遂げられた、と
いう皮肉でしょうか。戦争の愚かさに目を開かされ、恒久平和の実現
に向かわされて初めて、彼らの犠牲は「尊い」ものとなるのではない
でしょうか。
少なくとも、「戦争責任」を否定しないのであれば、行政のトップとして
「犠牲となった」人たちへの謝罪がまずあるべきです。理由はどうあれ、
戦争を回避できなかったこと、犠牲者を出したことは政治の失敗です。
総理大臣としての自覚があれば、「心の問題」と逃げて「職務放棄」
することはそれこそ良心が許さないはずですが。

また、安倍官房長官は首相のコメントについて「詳細にわたり参拝の
理由を述べ、問題点や論点、考え方を述べたと承知している」「大変
分かりやすくご説明された」との認識を示したそうです。
首相に、自分と異なる意見を理解する能力が無いということ以外に、
何がどう分かったのか、ご説明頂きたいものです。

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