平成25年2月8日、午後7時40分頃、長崎市「ベルハウス東山手」から出火、死者は高齢者5人となった。
建物は1~3階鉄骨つくり、4階木造上乗せの建築法違反建物だった。1~2階は9人入所施設
認知症者グループホームであった。
鉄骨部分は、以前はホテル、学校寮だったが、福祉施設運営会社「アイ・エル・エス」が1~2階を借り受け
9人規模のグループホームを経営していた。高齢者福祉施設としては防災上、いくつかの問題点が
指摘されていた。2階に防火扉なし、1階・3階に扉があったが自動でないので防火扉と認められて
いなかった。
また、高地のため、消火栓からの水圧が低く、道路配管工事が必要とされていた。
さらに、スプリンクラーが設置してなかった。あと5平方メートル建坪があれば
施設基準でスプリンクラーを設置しなければならない建物であった。同所は基準すれすれの
危険な高齢者福祉施設であった。
市施設管理部、消防署、福祉施設監督部の調査は入っていたが、運営会社は
監督署の勧告を受け入れることがなかった。運営会社に設備改善の意志がなかったと
いわれても致し方ない。法が定める基準を遵守する気持ちが薄いのでこんなことになる。
グループホームは、同所を退所した高齢男性を3階に住まわせ、4階の家主と賃貸契約をむすばせ、
ホーム側の在宅介護を受けさせていた。この認知症男性は火災の犠牲者になってしまった。
形式的に手続きが整っていればいいものでもない。午後7時30分過ぎというのに
こんなに犠牲者が出るなんて、設備不備と職員の消防訓練不足は恐い。
事故の多くは防御をすり抜けて起きる。火元の2階の部屋には欠陥商品といわれていた
加湿器があり、その過熱が火災の原因であった。メーカーの回収リストにはいらず、火災事故につながって
しまった。火元の高齢者は犠牲者となった。不運というしかない。
政府はこの高齢者施設火災事故にショックを受けて、すべての福祉施設にスプリンクラーの
設置することを決めた。私たちも高齢者のリスクに目を向けなければならない。
お堅い話になりました。取材と写真は毎日新聞の記事によりました。