5月23日(日)、柳川の立花邸「御花」の松濤館でトークショウ「立花宗茂~小説と史実~」を聴いた。
作家葉室麟と史学研究者中野等との対談は主催者があわてるほど聴衆があつまった。
会場で頒布された葉室麟著「無双の花」は品切れとなった。
立花宗茂を描いた歴史小説「無双の花」は今年1月、文芸春秋から出版されたが、いま、第四刷が書店に
並んでいる。著者葉室麟氏は五十歳から文筆業に入ったといわれる直木賞作家だが、新聞記者の
仕事が永かったので、文章はしっかりしているし、史実を踏まえて人物像を描いている。生意気なことを
申し上げるつもりはないが、まこと「無双の花」は確たる構想に確かな表現で文章が綴られている。
「無双の花」は宗茂の正室「千代(ぎんちよ)」をイメージした花である。小説の中心に宗茂と千代との
葛藤を描きながら、「義に生きる宗茂」を理解していた千代の心情を想い描いている。二人を外側から
見ることしかできない私たちなので、作家の卓越した文章構成と表現に感心する。
葉室氏は「昨日は久留米で落語家とおしゃべり対談」で疲れたといいながら、歴史学者中野等九州大学教授と
気のあった対談にしてくれた。
中野先生は宗茂研究で名の知れた方で、吉川弘文館の人物叢書「立花宗茂」が長く読まれている。私の
自家製本「立花宗茂の時代を寸描」は先生の本に教えていただいて、書き始めたようなものである。
このたび中野教授にお会いできたので、この私本を読んでいただくことをお願いした。 私はいま
なんだか、宿題を提出した学生のような落ち着かない気分でいる。