瀬戸市民言論広場

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議会傍聴報告

2016年05月13日 | お知らせ
このところ連日、議会運営委員会が開かれています。
傍聴報告だけではなく解説も交えながらお伝えします。

議会運営委員会とは地方自治法第109条により、議会運営の円滑化を図るために調整を測ることを担当します。
会期など議会の運営に関する事項、会議規則、委員会条例に関する事項、議長の諮問に関する事項について調査を行い、議案、請願等を審査します。また定例会(瀬戸市議会は年4回)や臨時会に先立って、会期中の議事運営の仕方について各会派の意見調整を行います。

連日協議されている事項は、常任委員会や議会運営委員会、議会改革推進特別委員会、広報広聴協議会の構成について、各組合議会議員、都市計画審議会委員、政治倫理審査委員についてなどです。

議会運営委員会は各会派からの委員で構成されており、協議事項について会派内で話し合った結果を委員が報告します。また委員会で協議課題となった事項を会派に持ち帰り、改めて会派内で話し合いをして次回の委員会で報告するという手順で進めていきます。

現在瀬戸市議会には「自由新政クラブ」「公明党市議団」「せと未来」「ネットワークせと」「日本共産党瀬戸市議団」「水曜会」があり、市のホームページで会派別議員名簿が公開されています。
瀬戸市議会での会派とは3名以上の議員で構成されるとなっていますが、例外的に2名の既成政党議員団であっても他の会派が承認すれば
会派と同様扱いとなります。
「日本共産党瀬戸市議団」は2名で上記に該当します。
「水曜会」はひとり会派です(会派と同様ではありません)。
常任委員会や広報広聴協議会、各組合議会委員は会派に属さなくても委員になれますが、議会運営委員会と政治倫理審査会は会派所属議員でなければ委員にはなれません。

各委員会や各組合議会委員の構成委員定数に対する議席配分と、常任委員会の正副委員長ポストなどを連日にわたり協議しているのです。
議席配分は会派所属議員数の「按分」によります。

「按分」とは基準となる数量に比例させて分けることです。
例えば総務生活委員会の委員定数は8人「自民新政クラブ」は11人所属の会派です。
まず比例人数というのを計算します。
瀬戸市議会議員は全26人ですから、11÷26=0.423。委員会の定数は8人ですので、0.423×8=3.38(小数点以下第3位を四捨五入)が「自民新政クラブ」の比例人数です。
按分では3人の委員を出せることを表しています。

会派からの委員申し出結果では委員会定数をオーバーしていることもあるので、議会運営委員会での調整が必要となります。
そして正副委員長ポストです。
予算決算委員会は副議長が委員長を、議会運営委員長が副委員長を務めます。議会改革推進委員会は特別委員会なので例外扱いです。

さて第一会派とは最大会派のことなので所属議員11人の「自民新政クラブ」ですが、問題は第二会派です。
現在「公明党市議団」「せと未来」「ネットワークせと」の3つの会派はいずれも4人。
議会運営委員会は第一会派から委員長を、第二会派から副委員長を選出することとなっていますので、暫し話し合いが長くなりました。
協議の結果「公明党市議団」を第二会派とし副委員長が選出されます。

ということで、5月13日現在の協議結果です。
○ 総務生活委員会(委員8人)
 自民新政クラブ3人、公明党1人、せと未来1人、ネットワークせと1人、共産党1人、水曜会1人
 正副委員長ともに自民新政クラブからエントリー。

○ 厚生文教委員会(委員9人)
 自民新政クラブ4人、公明党2人、せと未来1人、ネットワークせと1人、共産党1人
 委員長はネットワークせと、副委員長は公明党からそれぞれエントリイー。

○ 都市活力委員会(委員9人)
 自民新政クラブ4人、公明党1人、せと未来2人、ネットワークせと2人
 委員長は自民新政クラブ、副委員長はせと未来からそれぞれエントリー。

○ 議会運営委員会(委員8人)
 自民新政クラブ3人、公明党2人、せと未来1人、ネットワークせと1人、共産党1人
 委員長は三木雪実氏、副委員長は公明党で調整中。

○ 議会改革推進特別委員会
 自民新政クラブ1人、公明党1人、せと未来1人、ネットワークせと2人、共産党1人
 委員長は藤井篤保氏。

○ 広報広聴協議会
 会長は副議長、副会長は両部会長が兼務
 理事会は9名。内訳は正副会長3名、正副議長2名、議運委正副委員長2名、議会改革推進特別委正副委員長2名
○ 広報部会(会員12人)
 自民新政クラブ6人、公明党2人、せと未来2人、ネットワークせと2人、共産党1人
 部会長は長江公夫氏
○ 広聴部会(会員12人)
 自民新政クラブ5人、公明党2人、せと未来2人、ネットワークせと2人、共産党1人、水曜会1人
 部会長は山田伸夫氏

○ 瀬戸旭看護専門学校組合議会(議員6人)
 自民新政クラブ3人、公明党1人、せと未来1人、ネットワークせと1人

○ 都市計画審議会(委員6人)
 自民新政クラブ3人、公明党1人、せと未来1人、ネットワークせと1人

○ 政治倫理審査会(委員8人)
 自民新政クラブ4人、公明党1人、せと未来1人、ネットワークせと1人、共産党1人

*公立陶生病院組合議会(議員11人)は13人が希望しているため協議中。
*尾張東部衛生組合議会(議員5人)は6人が希望しているため協議中。 





地方自治法第120条「普通地方公共団体の議会は会議規則を設けなければならない。」

当然瀬戸市にも会議規則は設けられています。
今回お伝えした「会派」や「按分」という文言は瀬戸市会議規則には記されていません。

地方自治法第100条には政務調査費等で「会派」という文言は記されています。
しかし自治法が要請する会議規則には、定めるべき範囲は示されていないのです。

「会派」とは議会議員が(国政も地方も)共有する政策目的のため調査、研究、議論をする「政策集団」であり、存在の合理性は否定しません。
国政選挙ではほとんどの立候補者は政党から出馬します。無所属の場合ビラの枚数や選挙カーの制限など公選法でも不利です。
党の綱領や選挙マニフェストなどで候補者の政治理念や政策目的もある程度はわかります。
その「政党」でさえ憲法には明確な規定はなく、21条の「結社の自由」を根拠として最高裁判例で定着した「ことば」です。
政党助成法、政治資金規正法、公職選挙法などがありますが、統一的定義はありません。

昨春の瀬戸市議会議員選挙では立候補者34人中、21人は無所属でした。
改選後26議員中、政党公認議員は12人、無所属議員は14人です。

改選後に結成された「会派」とは?
政策目的や活動方針は何でしょうか?
私たち市民はこれらを知らされること無く、「会派を代表して」の本会議代表質問を聞かされています。
そして本稿でみてきた「按分」やポストです。

会議規則に記載がないとはいえ、会派結成や按分の委員配分が「法」に抵触しているわけではありません。
議会は規則だけではなく、慣例に従った運営でも行われるのは承知しています。
国会においても、政府閣僚が国会議員の資格で常任委員会(特に議事日程等を決める議院運営委員会)に加わることは「慣行」により否定されています(法の根拠ではありません)。政府提出法案の審議日程を内閣からの希望として表明できないのです(これらが国会法に定める正式機関ではない「国会対策委員長会談」に委ねられている一因)。

話を瀬戸市議会に戻しましょう。
議会改革推進特別委員会を中心に「議会基本条例制定」に向けて議論していくそうです。
「議会基本条例」は議会運営の理念とそれを具現化する仕組みを盛り込み、取分け「市民と議会との関係」を重視するために制定するものでしょう。
この機会に瀬戸市議会における「会派」の位置づけや、政策目的・活動方針を市民に対し明らかにされた上で「代表質問」や「按分」の合理性を議論していただきたい。
そうでなければ、広報広聴会を実施したところで「市民に開かれた議会」には及ばないと考えます。

5月19日より臨時会が開かれ、正副議長等議会役員人事が決まります。
ポストに関心を持つのもわからなくはありませんが「ポストに座って何をするつもりですか」が重要ですよ。

これからも傍聴報告を続けてまいります。
今回も読了ありがとうございました。







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