瀬戸市民言論広場

明るい未来社会をみんなで考えるために瀬戸市民言論広場を開設しました。

数字で論

2018年09月29日 | お知らせ
お手元に「広報せと・10月1日号」はありますか。
表紙をめくり2ページ、3ページに平成29年度決算報告が載っています。

みなさんは市議会9月定例会をご覧になりましたか(YouTube)。
本会議も各委員会も傍聴人は筆者以外ほとんどいませんでしたので、まだご覧になっていないかたは本稿読了後YouTubeをどうぞ。

7月に当ブログ「論より数字」3部、9月には「まちの診断書」2部を書きました。
こちらも参照しながら本稿をよんでください。

☆「広報せと」をご覧下さい。
まず一般会計の決算 実質収支は15億3966万2千円でしたとあります。

★「まちの診断書」第1部を参照ください。
実質収支とは当該年度(平成29年度)に属するべき収入と支出との実質的な差額のことです。

自治体でも黒字・赤字という言葉を使いますが、商売の儲けや損とは意味が異なります。
黒字だから単純に良いのではなく、どうやって黒字にしたのかを見なければいけません。
節約したから?、貯金を取り崩したから?

これは実質単年度収支で表されます。
単年度収支+積立金+繰上償還金-積立金取崩額=
1億7517万9千円+193万6千円+0-0=1億7711万5千円
積立金の取り崩しはしませんでしたが、償還金の繰上げもしなかったから。
これが黒字が微増した理由です。
「決算カード」とよばれている「決算状況」を見なければわかりません。(ホームページで公表されています)

☆「広報せと」をご覧下さい。
二つの円グラフがあり、左の赤っぽいグラフは歳入、右の青っぽいグラフは歳出の内容を表しています。

左のグラフ歳入総額は368億7509万6千円。円の右半分、自主財源率61%。
これは市税に繰越金や諸収入を合算して比率を算出したものです。
繰越金や諸収入などは毎年定額に収入できるとは限りません。
大事なのは市税です。

市税183億5718万8千円の内訳は(広報せとには記載されていません)
市民税(個人分)74億3359万円
市民税(法人分)12億7353万7千円
固定資産税   71億9976万2千円
軽自動車税    2億4547万1千円
たばこ税     8億4331万5千円
鉱産税        381万5千円
都市計画税   13億5769万8千円

★「まちの診断書」第1部をご覧下さい。
地方自治体だけで税を徴収すると、地理的特性や産業構造により自主財源確保に不均衡が生じます。どこの自治体でも一定の行政サービスを提供できるように国から支出されるのが地方交付税です。瀬戸市は25億9788万1千円(普通交付税22億448万3千円)。近隣の長久手、日進、みよし、大府、小牧などは不交付団体です。交付税を受けていると企業誘致等で、仮に10億円の収入があっても実質75%は国に取られます。自治体が住民に一定の行政サービスをするために必要なお金を「基準財政需要額」といいます。これは自治体が支出した実績(決算額)や、実際に支出しようとする額(予算額)とは連動しません。
単位費用×測定単位×補正係数で算出されます。
単位費用は測定単位1当たりの費用です。
測定単位は消防、公園、教育、保健衛生などは人口。その他道路の面積、延長などの項目があります。

瀬戸市の基準財政需要額は177億8422万1千円。
対して自主財源は183億5718万8千円ですから103.2%の余力しかありません。
今後、厚生費や土木費など需要額が増加し、市税が減少するようなことになるかもしれないという「将来像」が懸念されます。
6次総で掲げる将来像「住みたい街、誇れるまち、新しいせと」ですが、財政面を見ると懸念材料がいっぱいの将来像が浮かび上がります。

☆「広報せと」をご覧下さい。
右の円グラフに歳出総額351億5877万8千円、右半分に義務的経費48%。内訳は人件費57億5420万5千円、扶助費89億9315万9千円、公債費22億455万3千円となっています。
平成8年、今から22年前の瀬戸市人口は129638人。広報の表紙に今年9月1日現在の人口が記載されています。129684人。
いかがでしょうか22年前とほぼ同じ人口です。

★「論より数字第2回」をご覧下さい。
22年前の扶助費は約27億円。
現在は約3倍の90億円。
★「論より数字」をご覧下さい。
平成8年の一般会計は歳入、歳出ともに約346億円。
平成29年の歳出は約351億6千万円。

平成8年の歳入市税は186億9100万円。
平成29年の市税は183億5718万円。(減っています)

単純に比較しただけですが「扶助費の急増分はどのように捻出したんだろう?」と思いませんか。
★「論より数字第2回」をご覧下さい。
平成10年の人件費は95億9265万8千円。
☆「広報せと」をご覧下さい。
平成29年の人件費は57億5420万5千円。

☆「広報せと」3ページ
一般会計の歳出決算額の主な内容をお知らせします
子ども・子育て支援200万円
健康づくり推進費400万円

市長は図書館整備調査に650万円を使いました。
陶生病院陶壁保存(?)に891万円を使うそうです。

みなさんは家計に興味はありませんか?
商売や経営はどうでもいいですか?
市の財政なんて・・・関心ないですか・・・

さてここまで読了いただいた方は、YouTubeで議会情報番組瀬戸市議会、9月6日(予算決算委)・9月7日(総務生活)・9月10日(厚生文教)・9月11日(都市活力)・18日(予算決算委)をご覧下さい。
「ここは節約しよう、それは減額していこう」という議論はほとんどありませんでした。というより委員会、分科会で「討論」そのものがありませんでした。
提言書は「もっと予算を増やしなさい!!」という内容でした。

当ブログは論評いたしません。
あえて申し上げるなら、
瀬戸市に限らず「市民意識以上の議会、政治家は持てません」。

来春は選挙ですね。
任せっぱなしで「住みたいまち」になるのでしょうか・・・
決めるのは『あなた』です。

議会報告会:10月3日午後7時から市役所議場










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監査委員の意見

2018年09月28日 | お知らせ
原文ママ

平成29年度公立陶生病院組合病院事業決算審査意見について

地方公営企業法第30条第2項の規定により審査に付された平成29年度公立陶生病院組合病院事業決算について別紙のとおり意見を提出する。

1 審査について
(1)審査の対象:平成29年度公立陶生病院組合病院事業決算

(2)審査の期間:平成30年8月23日

(3)審査の方法:地方公営企業法第30条第2項の規定に基づき、管理者から提出のあった決算報告書、財務諸表、決算附属書類及び証書類を調査照合することにより審査を行った。決算審査にあたっては、事務局長、管理部長及び関係職員の出席のもと説明を受けるとともに、各月に実施した例月出納検査等の結果を踏まえ、慎重を期したものである。

2 審査の結果
(1)決算関係書類について
審査に付された決算報告書及び財務諸表並びに決算附属書類は、関係法令に準拠し、会計の原則に基づき作成され、決算数値は正確であり、計理全般にわたり適正に処理されているものと認められた。

(2)経営状況について
本年度の収益的収支の決算額は、224億4906万3154円で、前年度に比べて11億2461万1553円(5.3%)増加し、収益的支出の決算額は229億9709万2905円、前年度に比べて、2億9728万7225円(1.3%)の増加となった。結果として、当年度純損失は、5億4802万9751円となった。なお、収益的収入の増加の主たる要因は、入院患者数と手術件数の増加による入院収益の増加、収益的支出の増加は主たる要因は、職員の人員増に伴う給与費の増加であった。

(3)財政状況について
本年度の固定資産は、新東棟を含んで370億1255万5426円となった。その結果、資産合計は、503億2523万7085円となり、前年度に比べ136億866万7854円(37.1%)の増加となった。これに対して、負債合計は429億9893万5527円となり、前年度に比べて141億5469万7615円(49.1%)の増加となった。資産合計、負債合計とも前年度と比較して大幅に増加したが、負債合計の増加額が資産合計の増加額を5億4602万9751円上回っており、資本合計が減少することとなった。

(4)建設改良費について
本年度の建設改良費は、新東棟に係る建築費と新東棟に必要な器械備品購入に要する費用が大きな割合を占めており、新東棟に係る建築費は、合計で92億1768万1000円、放射線治療装置をはじめとする器械備品購入費は、合計で51億6544万8740円となった。なお、これらの財源として、企業債194億円を借り入れており、その結果、平成29年度末企業債残高は270億1093万73円で、前年度に比べて134億2482万2738円(98.8%)の増加となった。

3 審査意見
本年度も平成26年度から4期連続の赤字決算となった。平成29年度末企業債残高と今後の企業債返還計画とを考え合わせると、大幅な現金保有額の減少を招き、厳しい局面を迎えるものと見込まれる。こうした状況を勘案すると、財政状況の改善に向けては医業収支の改善が不可欠と考えられ、患者数増による収入の確保、資材調達価格の抑制等による支出の縮減など粗利益の増に努める必要があるものと思科する。また、平成29年度臨時職員採用の事務手続きや契約事務手続きなどの一部に不適切な処理が見受けられた。今後、同様の事案の再発防止に努めるとともに、ガバナンス機能、チェック機能の強化を図り、厳正かつ適正な業務遂行に努められたい。
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頂門の一針

2018年09月13日 | お知らせ
当ブログでは幾度も指摘してきた。

「現市長による行政の統制手法に問題がある」と。

行政機関はマンパワーで動いている。
電気産業会社のようにオートメーション化できる部門はない。
だからコンセンサスが重要なのだと。
コンセンサス、つまり合意形成を図る手間を省いてはいけないと。
ステークホルダー(行政の場合は市民)の意見を完全ではないにしろ、一致を促す説明責任があると。
権能を振りかざしてトップダウン手法はだめだと。

9月定例会に一般会計補正予算が議案上程されている。
国・県支出金3096万8千円
その他353万9千円(寄付金)
一般財源1億8420万円
計2億1870万7千円である。

ブロック塀の撤去費に対する補助金や、空家利用促進の補助金、要保護・準要保護児童生徒の就学援助などである。

補正予算案のなかに文化費として891万円が計上されているのだが、これはまもなく解体される公立陶生病院旧正面玄関内に飾られていた、陶壁保存のための予算だ。
この陶壁は加藤 釥氏制作「春舞」で、瀬戸信用金庫が寄贈したものである。
(筆者のフェイスブックを参照)

陶生病院側は専門業者と協議した結果、作品を壁から取り外し保存するのは難しい(壊れてしまう)ので3D等で保存しようと考えていた。
ところが8月9日、市長は所管理事者に補正予算を組んで保存することを指示した。

誤解されるといけないので、再度申し上げておくが、当ブログが問題視しているのは「手法」である。

そもそも陶生病院の旧玄関棟、北側棟は以前から解体すると決定していた。
跡地にはバスロータリー等ができる予定だ。

つまり市長就任時には決まっていた計画である。

これほどに陶壁を保存すべき文化財と認識されているのなら、なぜそれを市民に問わないのか。
問うているから補正予算を議案上程した。というならそれは詭弁である。
このことは後に触れる。

陶壁は瀬戸が誇る文化財である!だから残そう。
いや、そうは思わない!残す必要はない。

この議論から始めなければいけないのだ。
なぜもっと以前から始められなかったのか。

仮に、やはり瀬戸が誇る文化財だから残すことにしようと合意したとする。

では、掛かる費用はどうするのか。
市長が「私も自腹を切るので、有志を募って資金を集めよう」というやり方もあるはずだ。

神社仏閣にある陶壁ならば「税」は使えない。
深川神社の鳥居再建のように市民でお金を寄せ合うしかない。
今回は公立病院だから「税」を使えというのはおかしい。
しかも病院側は現物保存しないと決めていた。

おそらく市長の頭の中はこうだったのではないか。
陶壁は文化財として価値がある。

残さなければならない。壊してしまえば後々後悔しても遅い。

今なら間に合う。(以前は関心がなかった。あったなら前述した議論をなぜ省いた)

私には権限がある。補正予算を使おう。

所管の部下に命じる。

私は文化を救った。私は正しい。

ほとんどご自分で解釈決定している。

議案を議会に上程したから独断で税を使うわけではない。
もしこうお考えなら、それは詭弁だと申し上げた。

なぜなら「平成30年度瀬戸市一般会計補正予算案」は第66号議案として上程されていて、歳出中の「款・項」別に議決されるのではないからだ。
しかも議会からの質疑には所管理事者が答弁しなければいけない。(筆者は傍聴した)

市長は無言のままだ。(常任委員会には出席しない)

議会の議決は第66号議案に対して行われる。

この文化費は歳出中第2款第1項第15目にある。
これだけを取り出して採決することはできない。

ここからは議会議員に申し上げる。
上程された議案の採決にあたり、100%反対、100%賛成というのはほとんどないのでは。
個々の議員は考えた結果として全面的ではないが「賛成した、あるいは反対した」というのが本音ではないかと推察する。

そこで議会に要望したい。
瀬戸市議会は議案の採決にあたり(今回の議案以外でも)「付帯決議」について真剣に討論するべきだと。
採決にあたり賛成はしたけれど、もろ手を挙げてではないぞ。という議会の意思を表明してほしい。

法的効力がないから。というなら「提言書」も同じだ。
付帯決議なら執行後に「モノが言える」。

9月21日(金)本会議で採決される。
10月3日(水)19時から議会報告会が予定されている。
一人でも多くの市民が関心を持ってほしいものだ。

誤解を招いてはいけないので再度申し上げる。

議論の結果、合意形成を図った結果の事業なら合理性は担保される。
税を使う以上、コンセンサスを省いてはいけない。
権限はあっても市長のお金ではない。

いまの市政は民主制度の統治において何より重要な「合意形成」の手続きをとばし、権限を行使するだけの独裁的手法が多い。
(しかもあとのことは職員任せ)
これで「聞くこと第1主義」とは噴飯物である。

本稿で現市政の政策・事務事業について論定するつもりはない。

「トップダウン手法」はリーダーの証ではない。ということを強く申し上げる。

コンセンサスを取りながら部下たちとの話し合いを大切にする。
プロセスを大事にして、市民にも丁寧に説明していく。
これが求められている。

民主制度とは他のどの制度よりも面倒で手間が掛かるものだ。
このような独断手法では市民との信頼関係は薄れるばかりだろう。
市民も「議論力」をつけて、地域の会議を面倒がらずに進めていかなければ、厳しい財政状況を迎え、「住みたいまちづくり」などできるはずもない。



今回も読了いただきありがとうございます。












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まちの診断書 第2部

2018年09月09日 | お知らせ
第1部に続き、第2部です。
ここでは『決算カード』の数値と『財務書類4表』を使い、指標の見方を見ていきます。
今後、分析や評価方法は、全国の自治体から統一的な基準による財務書類が公表されたあと、議論されていくでしょう。

瀬戸市は財務書類4表を公開しています。
ただし現在は平成28年度までの公開です。
『財務書類4表』とは貸借対照表・行政コスト計算書・純資産変動計算書・資金収支計算書。と附属明細書です。
『決算カード』とおなじ、ホームページの行政管理部財政課の課のページ「瀬戸市の財務書類4表」平成28年度概要をご覧下さい。
財務書類は28年度を使って分析します。

お手元に『決算カード』と『財務書類4表」は用意できましたか。
それでは見ていきましょう。

○将来世代に残る資産はあるのか分析します。

①住民1人当たりの資産額
資産合計額(貸借対照表)÷人口(決算カード)で求めます。
『財務書類4表』18ページに記載されています。
1772億4300万円÷130298人=約136万円
*人口は平成29年3月31日付け住民基本台帳から
*平均的な数値は150万円くらいといわれています。
資産が多いことが単純に豊かだというわけではありません。固定資産が多いと維持補修費も多く必要となります。

②有形固定資産の行政目的別割合
『財務書類4表』19ページに記載されています。
この割合を経年比較することで、行政分野ごとに社会資本がどのように形成されてきたが把握できます。また類似団体と比較することで、本市の資産形成の特長がわかり、今後の資産整備の方向性を検討する資料となります。

③歳入額対資産比率
歳入総額に対する資産の比率を算出することで、これまでに形成されたストックとしての資産が歳入の何年分に相当するのかを把握し、自治体の資産形成の度合いを測ります。指数が高いと今後の施設更新など、財政的負担を考慮する必要があります。
資産合計額(貸借対照表)÷歳入額(財務書類4表17ページ)で求めます。
*歳入額は業務収入+投資活動収入+財務活動収入+前年度末資産残高
1772億4300万円÷(865億300万円+7億3100万円+49億200万円+118億2000万円)=1.71
かなり低い数値です。本市は資産形成の施策をとらず、財政面での過大な負担にならないように社会資本整備を進めてきたのでしょう。

④有形固定資産原価償却率(資産老朽化比率)
耐用年数に対して、資産の取得からどの程度経過しているのかを把握します。
『財務書類4表』19ページに記載されています。
一般会計等55.32 全体54.00 連結54.86 となっています。
この指数が50%を超えると、現在保有する建物や設備の半分以上がすでに帳簿上の価値を失っていることになります。
瀬戸市は資産の老朽化が進んでいると推察できます。
個々の施設ごとの老朽化の状況を分析し、施設の必要性やコストとして算出される減価償却費、維持補修費などを基に適切な管理を進めなくてはいけません。

○将来世代と現世代の負担割合を分析します。

①純資産比率
将来世代と現世代との間で負担の割合が変動しているかを見ます。
純資産合計額÷資産合計=
『財務書類4表』20ページに記載されています。
一般会計等83.66 全体80.27 連結73.53
この数値は大きいほど、将来世代への負担が少ないとされていますが、既存の公共施設を維持管理していくにはランディングコストがかかります。新しい建設物の有無だけでなく、本市の場合ランディングコストを議論する必要があります。

②将来世代負担比率
有形固定資産の形成に係る将来世代の負担の比重は、有形固定資産における将来の償還等が必要な、地方債による形成割合を算出することで把握できます。
『財務書類4表』20ページに記載されています。
一般会計等13.77 全体13.21 連結17.06

○どのくらいの借金があるのでしょう。

①住民1人当たり負債額
負債額合計÷人口=
『財務書類4表』21ページに記載されています。
一般会計等22万2千円 全体30万5千円 連結47万6千円
この数値が高いか低いかの評価は、類似団体(同じ規模の他自治体)と比較することです。まだ統一的な基準データはありませんが、瀬戸市は高いほうではないでしょう。

②基礎的財政収支(プライマリー・バランス)
これは地方債等の元利償還額を除いた歳出と、地方債等発行収入を除いた歳入のバランスを示す指標です。
『財務書類4表』21ページに記載されています。
この指標がプラスであれば借金の返済額が減少していることを表しています。

③地方債の償還可能年数
これは地方債を経常的に確保できる資金である、業務活動収支の黒字額で返済した場合に、何年で返済できるかを表す指標です。
『財務書類4表』21ページに記載されています。
瀬戸市は5.8年という数値です。平均は8~10年といわれていますから、比較的債務償還能力は高いといえます。
また瀬戸市は償還額以上の市債発行はしないと決めています。
平均値より低いから資金を市債で確保していいということではありません。

○行政サービスが効率的に提供されているのか。

①住民1人当たり純経常行政コスト
行政コスト計算表は行政サービスの効率化を目指すのに必要な情報を一括して提供しています。
純経常行政コスト(行政コスト計算書)÷人口=
『財務書類4表』22ページに記載されています。
瀬戸市は25万3千円。
この数値は人口規模により適正値が異なります。一般的に人口が多い方がスケールメリットがあるといわれていますので、類似団体と比較する必要があります。

②行政コスト対財源比率
純経常行政コストに対する財源の比率をみることで、当該年度の負担でどれだけ賄われたかが判ります。
この比率が100%を下回っていれば、翌年度以降へ引き継ぐ資産が蓄積されたことを表しています。
100%を上回っていれば、過去から蓄積した資産が取り崩されたか、翌年度以降の負担が増加したことになります。
家計に例えると、生活費が足りないので貯金を崩すか、借金をするかということです。
『財務書類4表』22ページに記載されています。
瀬戸市は104.70%。100%を超えています。

③受益者負担の割合
行政コスト計算書の経常収益は、使用料や手数料など行政サービスに係る受益者負担の金額です。これを経常費用と比較することで、行政サービスの提供に対する受益者負担の割合がわかります。
行政サービスを提供するために発生したコストを税収等で賄うことができればいいのですが、歳入減少が予想されるなかで持続意的に行政サービスを提供するには、受益者応分の負担を議論する必要があります。
『財務書類4表』23ページに記載されています。
瀬戸市は4.14
自治体が提供するサービスを税で賄うのか、受益者の応分負担とするのか。一定の基準を設けても最終的には市民の負託を受けた首長と議会議員の政治的判断となります。このとき「安ければいい。タダにしろ。隣町は安いぞ」を「市民の声」として無責任に安易な方向へ流れていくと、その先には財政危機が待ち受ける自治体になってしまいます。

ここまで読んでくれたかたは、YouTube「議会情報番組・瀬戸市議会」9月6日予算決算委員会と9月18日予算決算委員会をぜひご覧ください。

当ブログは個々の議員評価はいたしません。それは市民が判定することです。
議会全体として見れば、確かに瀬戸市議会はその「制度」において改革を進めています。しかしいくら「制度」を改革したところで議員が使いこなさねば意味を成しません。
昨年4月に制定された「瀬戸市議会基本条例」前文で高らかに謳い上げた理念を全うされんことを願うばかりです。

議員全員とは申しませんがもう少し財政議論力、決算審査力をつけていただかねば・・。

「会津は遠きにありて見えもせず、瞼にかすむ鶴ヶ城かな」と申し上げ、本稿を終わります。

今回も読了いただきありがとうございます。

参考文献 新地方公会計の基礎知識 宮澤正泰著 第一法規









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まちの診断書 第1部

2018年09月08日 | お知らせ
9月定例会が始まっています。
この定例会に決算の認定が議案上程されています。
一般会計のほか、国民健康保険・下水道・春雨墓苑・介護保険・後期高齢者などの特別会計の決算です。
特に一般会計歳入歳出決算の認定審査は議会の重要な職責です。

憲法第83条に「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」とあります。
これを受けて、地方自治法第96条「普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない」
1、条例を設け又は改廃すること。
2、予算を定めること。
3、決算を認定すること。
・・・・・・
とされています。

行政を動かすには莫大なお金が必要です。
このため行政側は、国民(市民)から直接的にも間接的にも「租税」を徴収します。
集めたお金をどのように使うのかを決めたものが「予算」です。
国の場合は政府が、地方自治体では首長が予算の編成権と執行権を持っています。
ちなみに米国の予算編成権は議会にあります。大統領は有していません。

この予算でいいですか?と行政側は国民(市民)の代表である議会に承認を求めます。
議会の議決を経なければ予算は執行できません。
執行後、行政側から「決算書」が提出され、きちんと支出されたのか、正しく管理されたのかを議会は審査します。
決算は議会が認定しなくても、行政側は次年度の予算編成権を失うことはありません。
しかし、執行された事業は目標通りの成果が得られたのか、不用額(使われなかったお金)が発生した原因なども検証し、
次年度の予算を編成する際の積算や優先順に対し、議会として意見を示す機会でもあるのです。
「使ってしまった、終わってしまったことを審査してどうなるのか?」ではありません。

お金をどのように集め、どのように使い、どのように管理するのかを行政執行部と議会で決めていく。
このことを『財政民主主義』といいます。
国民(市民)を統治する上で重要な概念です。

さて本稿は一般会計決算の総括審査について考えていきます。
事業別審査(これは各予算決算分科会で行われている)がミクロ財政だとすれば、こちらは「マクロ財政」と言えるでしょう。
マクロ財政を検証して、自治体の財務状況や将来予測を把握し、政策や投資が適切かどうかを判断する必要があります。
議会は決算の総括審査をして、行政側に様々な指摘をしていくことが大事な職責なのですが、はたして瀬戸市議会は負託に応えられているでしょうか。
みなさんとごいっしょに見てまいりましょう。

まず本稿を読むまえに、瀬戸市ホームページから『平成29年度決算カード』をダウンロードして参考資料としてください。
『決算カード』は瀬戸市ホームページトップページ → 課名一覧 → 行政管理部財政課の課のページへ → 記事一覧から決算(2018年8月30日)をクリックして『決算カード平成29年度』PDFでご覧になれます。

『決算カード』は人間の健康診断書のようなものです。
体重、身長、で体格指数がわかります。
体重70Kg、身長175cmなら、70÷1.75÷1.75=22.86
体格指数は25.0以上なら要注意です。
このほかにも血圧、血液検査AST(GOT),ALT(GPT)。GPT51以上なら肝炎か肝がんの疑いあり。
コレステロール、中性脂肪、尿検査などなど。
これらの数値から「油ものは控えるように」「運動不足ですよ」と注意され、このままですと「××病になって、死に至るかもしれません」と・・。

『決算カード』で会計分析をして、財政状況に問題があれば議員は決算委員会で指摘しなければいけません。

お手元に『平成29年度決算カード』は用意できましたか。
それでは分析していきましょう。

○自治体の人口
瀬戸市は住民基本台帳(平成29年3月31日)で130298人、54916世帯。(平成30年3月31日)で129900人、55388世帯。
ここから人口は減少しているのに、世帯数は増加していることがわかります。一人世帯が増えているのです。

○収支状況
瀬戸市は赤字団体なのか、黒字団体なのか。
歳入総額(平成29年度)369億351万6千円、歳出総額(平成29年度)351億8719万8千円、翌年度に繰る越すべき財源1億7665万6千円。

*形式収支:歳入総額から歳出総額を差し引いた「歳入歳出差引額」のことで、次年度の繰越金や貯金にあたる財政調整基金。

*実質収支:当該年度(この場合平成29年度)に属すべき収入と支出との実質的な差額をみます。形式収支から翌年度に繰り越す  
べき財源を除いた額。自治体の赤字・黒字はこの数字で判断されます。
形式収支(歳入歳出差額)は17億1631万8千円-1億7665万6千円=15億3966万2千円(黒)

*単年度収支:当該年度実質収支から前年度実質収支を差し引いた額。この1年でどれだけ黒字(赤字)が増えたのかがみえます。
(平成29年度)15億3966万2千円-(平成28年度)13億6448万3千円=1億7517万9千円

よかった。黒字が増えてます! 
ちょっと待ってください。どうやって黒字にしたのでしょう。節約したから!
いいや、貯金を取り崩したのかもしれません。
逆に赤字であっても、借金を早めに繰り上げ償還したのかもしれません。
こういうのを見るのが実質単年度収支です。

*実質単年度収支:単年度収支+積立金+繰上償還金-積立金取崩額。1億7517万9千円+193万6千円+0-0=1億7711万5千円
 黒字が増えたのは繰り上げ償還しなかったからということがわかります。

○収入(歳入)を把握しましょう
自治体の収入(歳入)の構成や内容から「自主財源」と「依存財源」の比率がわかります。
『決算カード』の2枚目を見てください。
地方税(住民税や固定資産税など)は183億5718万8千円でした。
地方交付税(別途解説)は普通・特別合計で25億9788万1千円。
国庫支出金は45億3474万2千円。
県支出金は24億9695万6千円。
地方債は16億3390万円。

平成29年度決算合計額369億351万6千円、そのなかで地方税は183億5718万8千円でした。

この5つの財源を把握すれば自治体の歳入全体の8割くらいの状況がわかります。
特に地方税の比率が重要です。
地方税は自主財源であり、一般財源なので自治体は自由に使えます。この比率が高いほど財政健全化が高いということです。

瀬戸市は「基準財政需要額」177億8422万1千円に対して「自主財源」183億5718万8千円。
実に103.2%しか余裕がありません。
これからも需要額が増えて、自主財源が増えないあるいは増えても需要増に追いつけない。という将来像が懸念されます。

 【解説】
地方交付税:本来は地方自治体が税を徴収すればいいのですが、それでは自治体間で不均衡が生じます。自治体の地理的特性や産業構造
など自主財源確保の環境が偏在しています。その均衡を図ってどこの自治体に住んでも一定の行政サービスを提供できるようにするために国から交付されています。基準財政需要額(一定サービスをするために必要なお金)より基準財政収入額(自力で集められるお金)が足りない自治体に普通交付税が交付されています。近隣では長久手市、日進市、大府市は交付されていません。自力でできているからです。瀬戸市の普通交付税についてはあとでご紹介します。

国庫支出金:
①「国庫負担金」国が義務的に経費を負担するもの。義務教育教職員給与、生活保護費など。
      
②「国庫補助金」国が自治体の事業を奨励・支援するためのもの。自治体が特別に行う必要がある施策だと国が認めた、あるいは自治体の財政上特別な必要があると認められたとき。とされていますが実態はいわゆる「ひも付き補助金」です。交付されたあと目的外使用はできません。そもそも自治体がある課題解決のため政策事業をやりたい。でも自主財源では足りない、ムリです。これを認めてくれるのが国の補助金制度。しかし先に国が「こんな補助金政策を出すぞ。手を挙げる自治体は申請してこいよ。」「補助金認められたぞ。お金もらえるぞ。事業をどうするか決めよう」これが実態に近いと思います。

③「国庫委託金」国が国の事務を自治体に委託する際の経費。国政選挙、国勢調査などです。


○瀬戸市の地方交付税
上記の通り地方交付税は、日本全国どの自治体に住んでも一定の行政サービスが提供されるよう財源を保障するものです。
この原資は国税である所得税、法人税、酒税、消費税(たばこ税は27年度から対象外)の一定割合とされています。
総務省のホームページで各自治体の算定結果が公表されています。
本市の地方交付税は平成29年は22億448万3千円、30年は22億1230万6千円と782万3千円増加しました。

 愛知県内の不交付団体は下記のとおり
 碧南市・刈谷市・安城市・小牧市・東海市・大府市・日進市・みよし市・長久手市
 豊山町・大口町・武豊町・幸田町・飛島村

○どこにお金を使っているのか
歳出の内容をみるには、『決算カード』に2つの分類別が記載されています。
「性質別歳出」とその下にある「目的別歳出」です。
「性質別歳出」は人件費、扶助費、公債費、物件費、維持補修費など経費の面で分類しています。
但し投資的経費は民間でいう概念とは違って道路や公共施設整備等の経費です。
「目的別歳出」は議会費、民生費、衛生費、労働費など行政分野別に分けてあります。
瀬戸市は扶助費が急増しています。当ブログで何度も書きましたが歳入はほとんど変化がないのに、扶助費はこの10年で倍増です。
平成29年度決算で89億9315万9千円となってしまいました。
いわゆる2025年問題に象徴されるように、少子高齢化社会の扶助費増加は避けられませんから、歳入が大きく伸びないなら、どこかの
事務の歳出を削減していくしかありません。

今回のテーマは「マクロ財政」です。
とても大きくて重要なテーマなので2部に分けてお伝えします。

あす第2部では、将来世代と現役世代の負担割合など、これからの本市財政問題や予算編成時の優先順、積算などを見ていきます。

第1部の読了ありがとうございます。 





       
 


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