第17回は「政策目的」
東洋経済ON LINEの『地方は儲からない「イベント地獄」で疲弊する』という記事が話題になっているようです。
にぎわうだけのイベントは「精神安定剤」にすぎない。
人は来るけど商売は必ずしも伸びないのに精神安定剤のようににぎわいを求めて、さらなるイベントを仕掛けています。
予算をもらうことは、目的を達成する手段にすぎないはず。なのに、いつのまにかもらうこと自体が取り組みになっている組織が少なくありません。
このように記されています。
昨年9月に第5次瀬戸市総合計画 行政経営達成状況報告書(平成27年度実績)が公表されています。
それぞれの事業の目標指数と達成指数、達成率、歳出決算額(いくら使ったか)が記されています。
7部構成でその第1部が「市民の交流と活力」です。
a、まるっとミュージアムの推進による賑わいと活力の創出
達成率72.7% 決算額2億4427万円
指標はイベント来訪者数、観光客入込数、市民サポーター数など。
b、市民の豊かな生活を支える働く場の確保と就業環境の整備
達成率64.3% 決算額5億5913万円
指標はキャリア教育実施授業数、中心市街地商店街歩行者通行量など。
c、市民文化活動の推進とやきものの文化の伝承
達成率69.2% 決算額4億3601万円
指標は美術館入場者、文化センター利用者数など。
d、都市の活力の源となる市民活動と交流の推進
達成率58.8% 決算額2億876万円
指標は審議会などの委員に占める女性の割合、地域婦人団体で活動する人数、地域力向上に取り組む地域数など。
全体での達成率は65.1%、決算額は14億4820万587円
その他、ヒト(市民)が関わる事業の達成率が低かったことが読み取れます。
今後は達成率だけではなく、指数の立て方と目標値(根拠)を議論すべきでしょう。
来訪者や参加者という人数は確かに「にぎわい」を測る指数ではありますが、歳入確保の観点では意義ある数とはいえません。
政策目的、目標指数については当ブログ「視点、観点、論点 第3回 ロジックモデル」を再読ください。
当ブログが政策目的や指数のあり方を提示するのは、歳入確保財源確保の議論なくして行政サービスの持続が困難となっていくためです。
なかでも巨額の歳出を余儀なくする課題が「公共施設等の維持管理費」です。
我が国は高度成長期から整備した道路や水道等ライフラインと公共建築物の老朽化が始まっていて、これらの維持管理をどうするのかという課題と、少子高齢化社会の到来で将来の税収減の懸念。
このふたつの課題は同時進行していきます。
瀬戸市はこの地域の中心都市として周辺市町よりも都市整備は早く進んだ結果、老朽化対策も先んじて議論していかなくてはなりません。
例えば市内公共建築物の約7割は築30年が経過しています。
プラント施設であるクリーンセンター(し尿処理施設)は1987年の建設物、下水道施設の西部浄化センターは1970年、水野浄化センターは1972年の建築物です。
国のソフトで試算したところ瀬戸市が今後40年で必要な経費は、
道路の更新約380億円、年平均9.5億円
橋梁の更新約63.6億円、年平均約1.6億円
上水道の更新約756億円、年平均約18.9億円
下水道の更新約233億円、年平均約5.8億円
公共建築物とインフラ試算を合計すると、
今後40年で総額約3231億円、年平均80.8億円と試算されています。
急激に歳出が増加している扶助費の問題もあります。
扶助費とは社会保障制度の一貫として、地方公共団体が各種法令(生活保護、児童福祉、老人福祉等)に基づき支出される経費のことで、瀬戸市は平成18年度40億円から平成27年度80億円とわずか10年で倍増しています。
一方歳入のほうは、総額は約390億円、うち自主財源である市税は180億円前後。
公共施設の維持管理に対応するために市は基金を積んでいますが、必要額と比べてまだまだ低額です。
市の将来とは「子供たちの将来」でもあります。
見てきたように多額の歳出が必要な時代がやってきました。
これらの課題を子供たちに任せますか?
楽しければイイ、にぎわえばイイ、この目的と参加した人訪れた人を指数とするイベントを続けていきますか。
それが「愛ある子育て」といえますか?
なにも暗い話ではありません。
「どうすれば儲かる?」をポジティブに考えればいいのでは。
無い袖は振れません。
第6次基本計画の政策目的と指数、目標数はどうでしょうか。
相変わらずにぎわいの人が指数でしょうか。
まもなく「瀬戸市公共施設等総合管理計画」のパブコメ募集が始まります。
前回「再検」で書きましたが、パブコメ募集の前に「市民説明会・勉強会の開催」を行政当局に提案します。
今回も読了いただきありがとうございます。
東洋経済ON LINEの『地方は儲からない「イベント地獄」で疲弊する』という記事が話題になっているようです。
にぎわうだけのイベントは「精神安定剤」にすぎない。
人は来るけど商売は必ずしも伸びないのに精神安定剤のようににぎわいを求めて、さらなるイベントを仕掛けています。
予算をもらうことは、目的を達成する手段にすぎないはず。なのに、いつのまにかもらうこと自体が取り組みになっている組織が少なくありません。
このように記されています。
昨年9月に第5次瀬戸市総合計画 行政経営達成状況報告書(平成27年度実績)が公表されています。
それぞれの事業の目標指数と達成指数、達成率、歳出決算額(いくら使ったか)が記されています。
7部構成でその第1部が「市民の交流と活力」です。
a、まるっとミュージアムの推進による賑わいと活力の創出
達成率72.7% 決算額2億4427万円
指標はイベント来訪者数、観光客入込数、市民サポーター数など。
b、市民の豊かな生活を支える働く場の確保と就業環境の整備
達成率64.3% 決算額5億5913万円
指標はキャリア教育実施授業数、中心市街地商店街歩行者通行量など。
c、市民文化活動の推進とやきものの文化の伝承
達成率69.2% 決算額4億3601万円
指標は美術館入場者、文化センター利用者数など。
d、都市の活力の源となる市民活動と交流の推進
達成率58.8% 決算額2億876万円
指標は審議会などの委員に占める女性の割合、地域婦人団体で活動する人数、地域力向上に取り組む地域数など。
全体での達成率は65.1%、決算額は14億4820万587円
その他、ヒト(市民)が関わる事業の達成率が低かったことが読み取れます。
今後は達成率だけではなく、指数の立て方と目標値(根拠)を議論すべきでしょう。
来訪者や参加者という人数は確かに「にぎわい」を測る指数ではありますが、歳入確保の観点では意義ある数とはいえません。
政策目的、目標指数については当ブログ「視点、観点、論点 第3回 ロジックモデル」を再読ください。
当ブログが政策目的や指数のあり方を提示するのは、歳入確保財源確保の議論なくして行政サービスの持続が困難となっていくためです。
なかでも巨額の歳出を余儀なくする課題が「公共施設等の維持管理費」です。
我が国は高度成長期から整備した道路や水道等ライフラインと公共建築物の老朽化が始まっていて、これらの維持管理をどうするのかという課題と、少子高齢化社会の到来で将来の税収減の懸念。
このふたつの課題は同時進行していきます。
瀬戸市はこの地域の中心都市として周辺市町よりも都市整備は早く進んだ結果、老朽化対策も先んじて議論していかなくてはなりません。
例えば市内公共建築物の約7割は築30年が経過しています。
プラント施設であるクリーンセンター(し尿処理施設)は1987年の建設物、下水道施設の西部浄化センターは1970年、水野浄化センターは1972年の建築物です。
国のソフトで試算したところ瀬戸市が今後40年で必要な経費は、
道路の更新約380億円、年平均9.5億円
橋梁の更新約63.6億円、年平均約1.6億円
上水道の更新約756億円、年平均約18.9億円
下水道の更新約233億円、年平均約5.8億円
公共建築物とインフラ試算を合計すると、
今後40年で総額約3231億円、年平均80.8億円と試算されています。
急激に歳出が増加している扶助費の問題もあります。
扶助費とは社会保障制度の一貫として、地方公共団体が各種法令(生活保護、児童福祉、老人福祉等)に基づき支出される経費のことで、瀬戸市は平成18年度40億円から平成27年度80億円とわずか10年で倍増しています。
一方歳入のほうは、総額は約390億円、うち自主財源である市税は180億円前後。
公共施設の維持管理に対応するために市は基金を積んでいますが、必要額と比べてまだまだ低額です。
市の将来とは「子供たちの将来」でもあります。
見てきたように多額の歳出が必要な時代がやってきました。
これらの課題を子供たちに任せますか?
楽しければイイ、にぎわえばイイ、この目的と参加した人訪れた人を指数とするイベントを続けていきますか。
それが「愛ある子育て」といえますか?
なにも暗い話ではありません。
「どうすれば儲かる?」をポジティブに考えればいいのでは。
無い袖は振れません。
第6次基本計画の政策目的と指数、目標数はどうでしょうか。
相変わらずにぎわいの人が指数でしょうか。
まもなく「瀬戸市公共施設等総合管理計画」のパブコメ募集が始まります。
前回「再検」で書きましたが、パブコメ募集の前に「市民説明会・勉強会の開催」を行政当局に提案します。
今回も読了いただきありがとうございます。