セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

2021年01月07日 | アート

東京都現代美術館で開催されている「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」を見に行きました。

アートディレクター、デザイナーとして、多岐にわたる分野で世界を舞台に活躍した、石岡瑛子さん(1938-2012)の大回顧展です。初期の広告から、映画、舞台、オリンピックのプロジェクトまで、石岡さんの才能とエネルギーに圧倒されました。

石岡さんは、1961年に資生堂に入社してデザイナーとしてのキャリアをスタートさせ、1970年に独立しました。1970~80年代といえば、資生堂とカネボウのCMバトルや、パルコやサントリーの広告がなにかと話題になっていたことを懐かしく思い出します。

コピーライターや、コーポレートアイデンティティなんて言葉が広まったのもこの頃ではなかったでしょうか。また、映画と書籍の強力タッグで「読んでから見るか、見てから読むか」の角川書店が注目を集めていたことも思い出されます。

資生堂、パルコ、角川書店などの広告の仕事を手掛けてこられた石岡瑛子さんは、まさに広告が消費を生み出す時代を牽引してきた仕事人であることを実感しました。

当時の日本で、しとやかではなく強い女性を打ち出した資生堂の広告や、ダイバシティという考えのなかった時代に、アフリカの女性たちをモデルにしたパルコの広告は、ものすごく画期的だったと思います。

石岡さんは、1980年にニューヨークを拠点を移して、広告から映画や舞台の世界に入り、舞台「M.バタフライ」(蝶々夫人) や「忠臣蔵」「ミシマ」の舞台デザインや衣装デザインを手がけました。

真二つに割れた金閣寺をはじめ、数々の衣装や映像を見ると、外国から見たオリエンタリズムという視点を意識しているように感じましたが、強さと華やかさ、重厚感があって、圧倒されました。

後半では、オリエンタリズムからさらに進化して、ボーダーレスな活躍ぶりで世界を魅了していきます。今回、石岡さんの仕事で私が唯一実際に見たことがあるのは、シルク・ドゥ・ソレイユの「ヴァカレイ」です。

唯一無二の色使いと、謎の地球外生物?のようなフォルムの衣装は、サーカスという動きのある舞台を得て、さらに輝きを増しているように感じました。

北京オリンピックの開会式では、コスチュームディレクターを務めました。中国の伝統を現代に取り入れた独特のデザインは、オリエンタルなデザインを手掛けてこられた石岡さんらしい魅力にあふれていました。

石岡さんの遺作となった、映画「白雪姫と鏡の女王」(Mirror Mirror) の衣装デザイン。

布を丹念に重ね合わせる大がかりな衣装は、映画というより舞台衣装のよう。実物を見るとその大胆さと繊細さに圧倒されました。

この他舞台衣装では「ドラキュラ」や「ニーベルングの指環」の個性的で、ダークなデザインも印象的でした。


コメント (6)    この記事についてブログを書く
« My Best Films in 2020 | トップ | 100本のスプーン @東京都現... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
強烈かつ優雅 (ノルウェーまだ~む)
2021-01-08 10:57:15
セレンさん☆
題名が衝撃的なので度肝を抜かれましたが、あでやかだったり奇抜だったり優雅だったりと通り一遍等でないデザインは女性ならではのしなやかさがありますね。
パルコのCMなど見事なものばかりで、当時広告がある意味「西武の独り勝ち」を支えていたところもあったように思います。
あの年代で一線で活躍できる女性って本当に素晴らしいですよね☆
返信する
☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ (セレンディピティ)
2021-01-09 01:06:50
まだ~むさん、こんばんは。
あ~、たしかに衝撃的なタイトルですね。
でもある意味、展示も衝撃的で、とても見応えがありました。
とにかく石岡さんのもつパワーとエネルギーに圧倒されたという感じです。
(改めて本文を読むと、”圧倒されました”って3か所も書いてしまっています。><)

パルコのポスターやCM映像を見て、そういえばあの頃の西武は強かった!と私も懐かしく思い出しました。^^
あの時代に自分の確固たる信念を持ち、それを実現できた女性はなかなかいなかったのではないかと思います。
説得力をもつ才能と強さを持つ、ほんとうにすごい女性だったんだなーと実感しました。
返信する
おいしい生活 (ごみつ)
2021-01-09 18:04:26
こんばんは。

東京都現代美術館では石岡瑛子展をやってたんですね。
石岡さんと言うと、映画ファンには衣装デザイナーっていうイメージが強いですが、様々なデザインをてがけてらしたのですね。
資生堂出身とは知りませんでしたが、あの頃、資生堂は広告デザインのトップリーダー的な感じもありました。

ウッディ・アレンを使った、糸井重里のコピーで西武の「おいしい生活」ってありましたよね。
このコピー、あの頃の日本の社会の雰囲気をよく伝えてると振り返ると思います。
返信する
☆ ごみつさま ☆ (セレンディピティ)
2021-01-10 00:05:42
ごみつさん、こんばんは。
そうなんです。東京都現代美術館で石岡瑛子展、開催中です。
この他、ギンザ・グラフィック・ギャラリーでも石岡瑛子展を開催しているので
できたら見に行きたいですが、内容的にはちょっとかぶっているかも。

石岡さん、舞台衣装のイメージが強かったですが
資生堂やパルコの広告も手掛けていらしたとは、私も驚きました。
糸井重里は当時、広告界でもてはやされていましたね~
おいしい生活、懐かしいです。
返信する
知らなかった~!! ()
2021-01-10 22:52:36
こんばんは。

石岡さんというと、私の中では「落下の王国」の衣装が衝撃でした!!
資生堂やパルコの広告をされていたとは全然知りませんでした。でもこのパルコの広告には覚えがあります。

いいですね~!!展覧会!舞台衣装、実物をみるとなお迫力でしょうね。
返信する
☆ 瞳 (セレンディピティ)
2021-01-11 00:58:32
瞳さん、こんばんは。
なんと! 瞳さんは「落下の王国」をご覧になっていらっしゃるのですね。
石岡さんは、ターセム・シン監督とはデビュー作の「ザ・セル」から、石岡さんの遺作となった「白雪姫と鏡の女王」まで衣装を担当されていたようです。
シン監督のファンタジーの世界を理解し表現する、唯一無二のデザイナーでいらしたのでしょうね。

昔の資生堂やパルコの広告はインパクトがありましたが
これらも石岡さんが担当されてたのか~と驚きました。

舞台衣装の実物はどれも圧巻で、いい意味で迫力に打ちのめされました☆
返信する

コメントを投稿

アート」カテゴリの最新記事