特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

外国語の効用

2005-10-19 10:27:53 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温11.1度。最高気温21.2度。ほんとうに朝晩肌寒くなってきました。
 
 昨日(10/18)は入院中に受けられなかった臨床心理士によるカウンセリングを受けました。水の上にスポイトでインクを垂らしたようなピクチャーカード(?)を見ながら何に見えるかを答えたり、過去から現在までの自分の生い立ちを振り返るといったことを二時間ほど行いました。風邪や怪我と違って私の持病の場合は外見はもちろん、いくらCT(X線断層撮影=Computerized tomography)スキャンやレントゲンを撮って見ても原因が見つからないのが普通です。そのため医師や臨床心理士などが患者の話しを充分に聞いた上で、原因を探り、対策を講じる必要があります。

 ということは、当然のことながら韓国語で自分の生い立ちや、精神状態そしてこの病気を発症した原因などを説明しなければなりません。日本語によるカウンセリングを受けても思うように説明できないことが多いのですから、韓国語ではなおさらです。特に自分の感情や精神的な状態を説明するとなると、おのずと表現も抽象的になりがちです。しかしながら(幸いにも?)、高度な韓国語能力を持ち合わせていない私は具体的かつ直接的な単語を羅列して話さざるを得ませんでした。
 
 外国語というものは不思議なもので、日本語では表現があまりに直接的であったり、稚拙だったりして、なかなか口に出来ない言葉も憚(はばか)ることなく言えたりします。そのお陰で、日本でカウンセリングを受けた時よりも自分の心の奥底まで潜り込めた気がしました。ちょっとした外国語の効用かもしれません。

日本語につられるワタシ

2005-10-09 23:19:25 | カンコクゴ試行錯誤
 晴れ。最低気温11.8度。最高気温21.8度。第559回ハングルの日!
 最近、朝晩は肌寒く日中との温度差が激しいので、朝早く出かける時に何を着ていこうかと思いっきり迷ってしまう優柔不断なカルビでございます

 さて、今日のカテゴリー「ブラかん(Bravo!韓国語)」にしようかと三分ほど迷ったのですが、「第559回ハングルの日(559돌 한글날)」ということで新たなカテゴリー「カンコクゴ試行錯誤」の栄えある第一回とさせていただきますこのカテゴリーではワタクシ、特上カルビの韓国語学習記をメインにしたいと思っておりますが、今後の展開は本人にもワカリマセン(深く追及しないでくださいね)。

 ここ三ヶ月ほど、暇さえあればKBS第1ラジオを聴くようにしています。KBS(韓国放送)の第1ラジオはニュース専門チャンネルなので、一日中ニュースや時事問題を取り上げた番組を放送しています。そのため他のラジオに比べると娯楽性には欠けますが、聞き取り(リスニング)の練習には最適です。また、自然と韓国の時事問題に強くなるという利点もあります。

 本当なら録音をして何度も繰り返して聴いて、アナウンサーと同じ速さで話せるまでになるのが理想なのですが、面倒なことが嫌いなワタシは、録音せずにアナウンサーについてなるべく同じ速さで話せるように意識しています。また、少し余裕がある時は、ニュースを聴きながら同時通訳のマネをしたりしています。これらは毎日必ずやっているわけではありませんが、ニュースだけは五分だけでも聴くように心がけています。

 相手が何を言っているのか解からなければ、コミニュケーションが成立しませんから聞き取り(リスニング)は何よりも重要だと思います。そして自分の耳を韓国語の“音(おと)”に充分慣らし韓国語の耳を作った上で、それを真似して発音をすれば良いのです(・・・って、書くのは簡単ですが実際はそんなに簡単に行きません)。
 
 同時通訳する真似ごとなどをしていると、日本語の発音と似た全く別の意味の韓国語に出くわし、日本語につられて思わず韓国語を誤訳してしまうということがあります。

 今、釜山で国際映画祭が開催されていますよね。
 今日(10/9)のラジオ番組でも話題に取り上げられていました。そこに出てきた韓国語。「バリ島で起きた連続テロ事件や、来る十一月十二~十九日まで釜山で開催されるAPEC首脳会議を目前に控えて、映画祭での警備が強化されました」という内容の現地からのレポートでした。

 この「警備が強化されました(경비가 강화됐습니다.)」という韓国語を敢えてカタカナ表記すると「キョンビガ(警備が)カンワ(強化)デェッスムニダ(されました)」になるのですが、ここに出てくる「強化」を意味する韓国語の「강화(カンワ)」という言葉がクセモノです。何故なら、「強化(きょうか)」だという意味は解かっていながらも、「강화(カンワ)」という韓国語の発音につられ、ついつい「緩和(かんわ)」と訳して(言って)しまいそうになるからです

 何しろ「強化(きょうか)」と「緩和(かんわ)」では意味が正反対になってしまいますからね。本当の同時通訳だったら笑い事では済まされません。
 
 「強化(きょうか)」を意味する「강화(カンワ)」はスペル通りゆっくり発音すれば「강화(カンファ)」になるので問題は無いのですが、ㅎ[h]は有声音(母音と有声子音のㅁ,ㄴ,ㅇ,ㄹ)に挟まれるとㅎ[h]の音が弱まったり、あるいは全く発音されないという特性を持っているのです。そのため「강화(カンファ)」が「강와(カンワ)」と発音されるのが普通なのです。
 電話を意味する「전화(チョンファ)」が「チョナ」、映画を意味する「영화(ヨンファ)」が「ヨンワ」と聞こえる(発音される)のも同じ理由からです。
 
 逆に韓国語話者が日本語を話す際に、先に述べた発音の特性上から[h]の音が弱まる傾向があります。具体的には「コーヒー」のことを「コーイー」などと発音するのがその例です。

 因みに一般の韓国の人に「何で“전화(チョンファ)”を“チョナ”と発音するの?」と訊くような愚かな真似はやめましょう。何故ならそれは、大部分の日本人が日本語の発音規則について論理的に説明出来ないのと同じだからです(母語を客観的に説明するのは容易ではありません)。

ハングルの日(ハングルラル)を前に

2005-10-06 23:10:36 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温11.5度。最高気温24.9度。秋晴れ!

 今週末に卒業試験があるため、真面目に机に向かっているカルビでございます。そのためブログの更新が滞っておりますがご了承下さい

 昨日(10/5)ラジオニュースを聴いていたら、来る十月九日の「第559回ハングルの日(ハングルラル=한글날)」に文化褒章などを授賞される各界の方々の名前が発表されていた。
 その中に、私が大学時代に韓国語を教えていただいたN先生のお名前があったではありませんか!いや~、自分のことのように嬉しかったです。本当におめでとうございます!
 早速、今朝(10/6)先生にお祝いのメールをお送りしたのですが、つい先ほど次のような返事を戴きました。
 
 >私にというより,こちらでがんばっているみんなにということだと思っています.これからも一緒に頑張りましょう.
  
 久しぶりにN先生からメールを戴いて、私も元気を貰いました。韓国で韓国語を学んでいる皆さんはもちろん、日本国内で、あるいは第三国で韓国語を学んでいる皆さん、頑張りましょう

清渓川(チョンゲチョン)プレ・ウォーキング

2005-10-02 20:06:17 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温18.0度。最高気温24.2度。湿度が低く過ごしやすい一日。

 行って来ました清渓川(チョンゲチョン=청계천)
 明日(10/3)の「清渓川市民ウォーキング大会(チョンゲチョン シミン コッキテフェ=청계청 시민 걷기대회)」に先立って、一足早く東亜日報(トンアイルボ=동아일보)前の清渓川広場(チョンゲチョン クァンジャン=청계천광장)から東大門(トンデムン=동대문)方面へ向かって歩いて見ました。写真は清渓川広場から川面に下りて、広場側を見上げて撮影したものです(中央は光化門(クァンファムン)ビル。右岸の階段上に建っているのが東亜日報(トンアイルボ)メディアセンター)。
 


 それにしても二年三ヶ月でよくもここまで復元したものだと感心しました。確かに今までは清渓川(チョンゲチョン)の上に道路を被(かぶ)せていただけだったので、道路の下に川そのものは残っていた訳です。いわばコンクリートの蓋を取り除き、護岸と橋脚を整備したことになります(もちろん、実際は住民の立ち退き交渉など、そんなに単純な事業ではありませんが・・・)。
 昨日(10/1)一般公開された際には二十万人もの人が訪れたとのこと。
 朝九時半に家を出て清渓川までバスで向かい、十時過ぎに歩き始めました。もともと川幅が広くないこともあって、河辺の遊歩道も狭い部分が何箇所かあります。また、親水を目的としているのか、基本的に遊歩道と川面との差が深くとってありません。階段状になっている場所が何箇所もあって、水遊びをしている子ども達も多数見かけました。驚いたことに川の水を飲んでいる子までいました(韓国の子どもは怖いもの知らずです)。四十七年ぶりに再びその姿を現したということもあり、川面を散策されている人の中には年配の方の姿も多く見られたのですが、途中で気軽に休憩できるベンチも充分な数とは言えませんでした。また、ゴミ箱は一切設置されていません。しかし、増水した際には川面の遊歩道も“川の一部”にならざるを得ないので、ベンチやゴミ箱を設置出来ないのは仕方が無いでしょう。
 個人的に不便だと思ったのが、今自分がどこを歩いているか把握しづらいこと。途中に現在位置を示す案内板などがほとんど無いのです。土地勘のある人なら周囲の建物を見れば、自分がどの辺りを歩いているか判るでしょうが、地方から来た人はもとより、外国人観光客には不便だと思います。橋の名前だけでも欄干に大きく表記してあれば助かるのですが、何故か橋の真下の護岸部分に小さくハングル文字だけで表示されています。地下鉄の駅やお手洗いの案内も矢印とメートル表示がされているだけなので、実際どこにあるのかが釈然としません。付近の地図などが一緒に設置してあれば助かります。案内板にある地名もハングル表記のみが多かったので、ハングルを解せない方は車道上の案内標識を参考にするしか無いでしょう。
 写真左は東大門(トンデムン=동대문)にある斗山タワービル(テゥサントウォー=두산터워)、右は清渓川(チョンゲチョン)復元事業完了を祝ったバルーン。
 

   


 清渓川(チョンゲチョン)の川面に沿って歩いて行くと、東大門(トンデムン)市場まであっと言う間です。当然と言えば当然です。何故なら途中信号も何も無いのですから。ソウル市庁舎からのんびりあるいても三十分あれば充分でしょうか?散策するにはちょうど良い距離です。
 下の写真の橋脚は清渓川の上を道路が覆っていた当時、道路を支えていた橋脚です。ビウダン橋(비우당교)とムハッ橋(무학교)の間にモニュメントとして三本だけ残されています。
 

   


 更に進んで行くと、右岸にガラス張りの清渓川文化館(チョンゲチョン ムナグァン=청계천문화관)が見えてきます(写真下)。
 


 ここでは過去から現在に至る清渓川の全てが学べるようになっています。年中無休で、開館時間は午前九時~午後十時、常設展示は入場無料ですので気軽に覗いて見てはいかがでしょうか?九月二十六日にオープンしたばかりなので、文化館の存在自体まだあまり知られていません。
 総事業費3,876億ウォン(およそ420億円)の巨費を投じた一大プロジェクトが二年三ヶ月の歳月を経て陽の目を見ましたが、問題はこれからの維持管理にかかっていると思います。清渓川(チョンゲチョン)の復活事業はこれで終わりではなく、ようやく始まったと言えるのではないでしょうか?