「琥珀の眼の兎」 エドマンド・ドゥ・ヴァール 早川書房
The Hare With Amber Eyes 佐々田雅子・訳
陶芸家のエドマンドは東京の大叔父の部屋で出会った264の美しい根付に魅了された。
やがて根付を相続した彼は、その来歴を調べはじめる。根付を最初に手に入れたのは、彼の曾祖叔父だった。
19世紀後半に日本から輸出された根付はマルセイユに上陸して、美術蒐集が趣味の曾祖叔父の手に渡った。
根付たちは華やかなりし頃のパリでプルーストやルノワールに愛でられ、その後、ウィーンの大富豪の親類の手に。
だが、ナチスの魔の手が一族と根付に忍びよってくる―。
根付の壮大な旅路を追いながら、エドマンドは一族の哀しい歴史を知る。
<カバー折り返しより>
ノンフィクション。
根付が辿った歴史と言うより、エドマンドのエフルッシ家の歴史。
読みやすい文章ではないので、時間がかかる。
事実の連なりは決して派手ではなく、地味な展開なので、余計にそうなのかも知れない。
知っている芸術家も出てきて、新しいことを知る面白さもある。
段々不穏な状況になり、目が離せなくなる。
どうしようもない現実に圧倒される。
こんなことがあっていいものだろうかと思うが、これは事実なのだ。
ナチの虐殺は本当のこと。
その事でも心は痛むが、ひとつの家族がどうなったかと言う事が、余計残酷さを際立たせる気がする。
オーストリアという国とユダヤ人の悲劇。
ただ歴史として知っている事実。
その中であった人間の過酷なドラマは、聞かないと分からない。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ一家のオーストリア脱出も、この時のことなのだ。
1日にして、すべてが変わってしまう。
理不尽としか言いようがなにのだが、何も出来ない。
読んでいて、辛くなる。
すべては人間が作り出すことなのだ。
日本が他の国と違う文化を持っていたこと、それがどう見られていたかもよく分かる。
不思議な国だったのだ。
精巧な根付を見てみたい。
The Hare With Amber Eyes 佐々田雅子・訳
陶芸家のエドマンドは東京の大叔父の部屋で出会った264の美しい根付に魅了された。
やがて根付を相続した彼は、その来歴を調べはじめる。根付を最初に手に入れたのは、彼の曾祖叔父だった。
19世紀後半に日本から輸出された根付はマルセイユに上陸して、美術蒐集が趣味の曾祖叔父の手に渡った。
根付たちは華やかなりし頃のパリでプルーストやルノワールに愛でられ、その後、ウィーンの大富豪の親類の手に。
だが、ナチスの魔の手が一族と根付に忍びよってくる―。
根付の壮大な旅路を追いながら、エドマンドは一族の哀しい歴史を知る。
<カバー折り返しより>
ノンフィクション。
根付が辿った歴史と言うより、エドマンドのエフルッシ家の歴史。
読みやすい文章ではないので、時間がかかる。
事実の連なりは決して派手ではなく、地味な展開なので、余計にそうなのかも知れない。
知っている芸術家も出てきて、新しいことを知る面白さもある。
段々不穏な状況になり、目が離せなくなる。
どうしようもない現実に圧倒される。
こんなことがあっていいものだろうかと思うが、これは事実なのだ。
ナチの虐殺は本当のこと。
その事でも心は痛むが、ひとつの家族がどうなったかと言う事が、余計残酷さを際立たせる気がする。
オーストリアという国とユダヤ人の悲劇。
ただ歴史として知っている事実。
その中であった人間の過酷なドラマは、聞かないと分からない。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ一家のオーストリア脱出も、この時のことなのだ。
1日にして、すべてが変わってしまう。
理不尽としか言いようがなにのだが、何も出来ない。
読んでいて、辛くなる。
すべては人間が作り出すことなのだ。
日本が他の国と違う文化を持っていたこと、それがどう見られていたかもよく分かる。
不思議な国だったのだ。
精巧な根付を見てみたい。
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