しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「白銀を踏み荒らせ」 雫井脩介  

2005年10月17日 | 読書
「栄光一途」の続編。望月篠子が主人公の話。
先の事件で柔道界から身を引いた篠子は心の傷を癒す為、フランスアルプスのヴァル・ディゼールにスキーに来ていた。そこで、アルペン高速チームのコーチ五十嵐から、
滑降選手、石野マークのメンタルトレーニングコーチを頼まれる。
マークの兄ケビンは同じ滑降の選手だったが、1年前の大会の競技中に転倒して、命を落としていた。
なぜ転倒したのか疑問に思っているマークは、自らも転倒のイメージを持ち、自信をなくしていた。
コーチを引き受けた篠子のメンタルトレーニングは効果を上げ始めていたが、
チームと一緒に行動していた、研究者のホフマン教授が篠子に頼みごとをした事から、 事件に巻き込まれて行く。
ホフマンはケビンの事故は仕組まれた物で、マークも狙われていると言う。
そして、ホフマンは何者かに殺される。
舞台は世界選手権富良野大会のある日本に移る。
篠子はチームに紛れ込んでいた、殺し屋との格闘を経て、マークが狙われている事を確信した。
マークを守る為、友人、深紅の助けを借りて犯人探しを始めるが、事故を起こさせる方法も分からないまま、マークの滑走順が近付いて来る。

事件の根底にあったのは、人種差別と個人の欲。
<パル>と言う白人至上主義の秘密組織がある。
スキー界は白人の聖域。だからアルペンスキーは白人のものであって、有色人種が活躍してはいけないと。
小説の中にもあるが、日本人がノルディック複合やジャンプで活躍すると、日本人に不利な様に、ルールを変えて来ている。でも、それはスキーだけではなく、体操やバレーボールもそうだった。だから、ジャンプでマリシュ選手の様に日本人と同じ身長の人が活躍すると応援したくなる。日本人の復活ももうすぐ、と言う感触もある。

篠子と深紅のコンビは相変わらず軽快で面白い。
主人公の篠子がちょっとのんびりしていて、深紅がテキパキしていて、深紅が主役になっている時もあるけれど。
おおらかな人物が多いので、何となく緊迫感が薄い気もするが、
前作より、サスペンス度が増して、後半は結構ドキドキだった。

雫井さんはもう、篠子の話は書かないのかな、また読みたいけれど。
今はこれとは違った方向のサスペンスになっているから。


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