しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「魔王」 伊坂幸太郎  

2005年12月28日 | 読書
「考えろ、考えろ」生きることは考察する事と信じる安藤。
ある日、自分の考えた通りに他人に言わせる事が出来る事を知る。
野党、未来党の党首・犬養がファシズムの道を進もうとしていると思った安藤は、
不安を覚え、犬養を阻止しようとして、命を落とす。
犬養には安藤と同じ様に、特別な能力を持つ支持者がいた。
安藤の弟・潤也は兄の死後、勝ちを無意識に当てる能力が備わる。
じゃんけんで負けた事はなく、競馬も当てる。
首相になった犬養は、憲法改正を国民投票で決め様とする。
犬養との対決に備え、潤也は金を貯めはじめる。金は力だと。

と粗筋を書いても、きっとよく分からない話だと思う。
これは、ストーリーがどうと言うより、感覚として考え方や感じ方を訴えかけている
物語のような気がする。
現実社会と符合している話でもあるのでちょっとゾッとさせられる。
日本は何処に向かっているのか、それを決めるのは誰なのか。
カリスマ政治家が登場して、国民を引っ張って行く。
引っ張られる国民は自らの意志でそちらに向かっているのか。
「考えろ、考えろ」。結論の出ない、堂々巡りの思考になってしまう事もあるけれど、
そこには自分の意志が働いて来るだろう。
考えると色々な事が見えてくる。
潤也の言葉。
「一番厄介なのは、大衆の才能のない(役割を忘れた)大衆」
「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも水に流されないで立ち尽くす、1本の木になりたい」
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