しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「交渉人」 五十嵐貴久  

2007年04月01日 | 読書
東京品川区夜の9時半、フルフェイスのヘルメットをかぶった3人組の男がコンビニを襲う。
強盗が拳銃を発砲したことにより、警察は重要事件として手配する。
少しして巡回中の警官が、犯人が乗って逃走した車が上品川二丁目の駐車エリアに止まっているのを発見。
タイヤがパンクしたらしく、あたりを見回した警官は近くの小出総合病院に犯人らしい男がいることを確認する。
病院には医師、看護婦、患者を含め約50人がいた。
立て篭り事件では警備部・特殊捜査班が出動する。そこの石田修平警視正はネゴシエーター(交渉人)の第一人者だった。
人質解放を第一としつつ、犯人逮捕にも結びつくように、石田警視正と犯人との交渉が始まる。



ネゴシエーターとはどのようなもので、何故そのように話しを進めていくのかなど、細かいことを、犯人と交渉しつつ、そばにいる警官に話してくれるので、とても分かり易く、しかも、その場の緊迫感は薄れずぐいぐい物語を引っ張っていく。
一気読み必至の面白さ。
立て篭もる犯人との駆け引きの後に思わぬ展開が待っていて、どのように進んでいくのか予測が出来なかった。
ただの強盗ではないことは匂わせてくれていたので、気にはなっていたのだが分からなかった。
そして、ラストがいい。
最後の遠野麻衣子の考え方がとても救いになる。
「なにがあっても殺してはいけない」
確かにそうだと思う。どうしたらいいか分からないけれど、100%他の人の気持ちを判ってやることは出来なくても、しっかり言い切った言葉に同意出来る。


もうひとつ、思ったこと。
昔は、学校の先生、お医者さん、お巡りさんといったら、絶対信用出来る人の代名詞だった気がする。
それが、今は犯罪者としてニュースになることも多い。
誰を信用していいのか分からなくなる。
しかし自分の職務を、命を削るように、いやまさに命を掛けてまっとうしてくれる人もいる。
悪い事をする人はほんの一部でも、それが全体を指してしまう重大な職業なのだ。
人間の質が下がっているのか、昔は気が付かなかっただけなのか。
自分は質が下がっている気がする。みんなでもっと意識を高められるようにしていかなければならないのだと思う。
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