しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「彼女のいない飛行機」  ミシェル・ビュッシ 

2016年09月01日 | 読書
「彼女のいない飛行機」  ミシェル・ビュッシ  集英社文庫   
 UN AVION SANS ELLE       平岡敦・訳

1980年12月23日。
イスタンブール発パリ行きのエアバス5403便がフランスとスイスの国境、モン・テリブル(恐怖の山)に墜落する。
乗客・乗員168名が死亡する中、生後3か月の乳児が奇跡的に生存する。
乳児の両親は亡くなり身元を特定する物は身に付けていなかった。
そして、フランスの2組の家族が名乗り出る。
カルヴィル家は有力な実業家で、ヴィトラル家は改造したシトロエン・H・トラックでフライドポテトやソーセージ、焼肉を売って生活していた。
リズ=ローズ・ド・カルヴィルとエミリー・ヴィトラルは、3日違いの生まれで血液型も同じ。
そして、両親の他彼女を良く知っている人はいなかった。
唯一、リズ=ローズには6歳の姉マルヴィナがいたが、3か月児を見分けられるか疑問視された。
身元が分かるまでリリーと呼ばれる。
DNA鑑定のない時代、法廷でエミリーと判定が下される。
マティルド・ド・カルヴィルは私立探偵クレデュル・グラン=デュックにリリー身元の調査を依頼する。
そして事故から18年後、グラン=デュックは突然決定的な手掛かりを発見する。








奇跡の子は、リズ=ローズかエミリーか。
設定や、その子の身元捜しは面白い。
しかし、その面白さがあまりストレートに伝わって来ない。
探偵グラン=デュックの書いたノートは勿体つけて回りくどい。
なぜ始めに自殺しようとしていたのかの理由が分からないまま、アルクとそのノートを読んでいく。
そして同時進行で現代の様子も。
それは、マルク・ヴィトラルとマルヴィナ・ド・カルヴィルが中心になるのだが。
色々納得の出来ない、と言うか理解出来ない行動を取る2人。
そして、あまりにも簡単に起こる殺人。
あまり物語の中に入って行けなくなってしまった。
最後の手掛かりも、少々都合良過ぎる
飛行機墜落事故が1面の新聞に、そういう記事が一緒に1面に載るものだろうか。
その前にDNA検査が出来るようになって、検査をしたあたりから、先の展開が何となく分かる。
マルクや私達はまだ知らなくても、リリーはもう知ってそういう行動を取っているのだから。
そして、胡散臭い探偵は、やっぱりだった。

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