しましましっぽ

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「ゴールドマン家の悲劇」 ジョエル・ディケール 

2023年01月23日 | 読書
「ゴールドマン家の悲劇」 ジョエル・ディケール  創元推理文庫  上・下巻
 LE LIVER DES BALTIMORE    橘明美/荷見明子・訳

作家であるぼく、マーカス・ゴールドマンは新作を書きに訪れたフロリダで、かつての恋人アレクサンドラと再会する。
彼女とぼくは、ある出来事のせいで別れたのだった。
それはぼくと従兄弟と伯父夫婦、そして近所のアレクサンドラと弟の関わる悲劇だった。その悲劇とは何だったのか?
    <文庫本上巻裏カバーより>

ぼくと両親の家は質素なゴールドマン家、父の兄で敏腕弁護士の伯父夫婦と息子ヒレル、そして息子同様に暮らすスポーツ万能の少年ウッディの一家は裕福なゴールドマン家。
ぼくは伯父の家族に憧れ、入りびたっていた。
そして近所に越してきた美しいアレクサンドラと難病の弟スコットが加わり、少年たちの関係の微妙な均衡がくずれる。
成長、挫折、恋、葛藤、親族間の行き違いがもたらした悲劇の真相とは?
     <文庫本下巻裏カバーより>






前作の「ハリー・クバート事件」も読んでいて、面白かったと言う記憶がある。
今回も面白かった、始めの方は。
「ゴールドマンギャング」の個性的な少年たちの行動そのものが痛快だった。
それが、アレクサンドラが加わって変わってしまう。
男の仲良し組の中に、女が1人入って関係が変わってしまう典型的な物語。
男同士の関係が変わったかは、アレクサンドラの登場から。
3人の、正々堂々と戦おうと約束すれば良かったのに。
ヒレルの行為がウッディの将来を壊してしまうが、その後の2人はどうやって関係を修復したのか。
その事が何も書かれていない。
あれだけの憎しみを見せていたのに、また修復出来るのだろうか。
だから、最後まで「ゴールドマンギャング」の絆が永遠と言うのは幻想に過ぎないと思う。
そして、最初から悲劇、悲劇と言って引き延ばすが、今はいない人は誰かと分かるのであんなに引き延ばさなくてもと思ってしまう。
ボルティモアのゴールドマンとモントクレアのゴールドマンの物語も面白かった。
しかし、その後の関係はああなるものだろうか。
自分がモントクレアなら、関係を断ってしまいたい気がするが。
お互いに気を遣い、優しい関係になれるとは思えない過程なのだ。
その辺りはもっと詳しく知りたかった。
マーカスとアレクサンドラの話より、そちらの方を知りたかった。
そして、スコットの事が、その後の人生に何も影響を与えていないようなのも不思議に思う。
ウッディとコリーンも、もっと早くマディソンから逃げ出せば良かったのに。
ルークがやがて戻って来る事は分かっていたのに。
悲劇を防げる要素はたくさんあったように思う。
そう、ソールが子離れ出来ていなかった事も問題だった。

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