しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「少年十字軍」   皆川博子

2013年12月05日 | 読書
「少年十字軍」   皆川博子   ポプラ社    

13世紀フランス。
第四次十字軍が失敗に終わり、聖地エルサレムは異教徒の手に落ちていた。
ノワイエ伯領にいた12歳の羊飼いの少年エティエンヌ。
ある日、目の前に大天使ガブリエルが現れ「エルサレムに行け」と告げる。
エティエンヌは修道士のフルクと4人の仲間で、マルセイユから船に乗るため旅をしていた。
仲間は13歳の農奴の娘アンヌと7歳の弟のピップ、11歳のトマとアントン。
途中で森に暮らすルーが加わる。
ルーは傷を負った所を、エティエンヌの癒しの手で救われるが、フルクに殴打され恨んで後を追う。
エティエンヌ達が川を渡るのを難儀しているのに手を貸し、一緒に行くことにする。

神の子エティエンヌの噂は広まり、新たに子どもたちが加わる。
聖地に行けば贖罪となり、すべての罪や許されると、親が参加させるからだ。
〈エルサレムを目指す子供十字軍〉は、子ども自身は目指す場所も分からず、進んで行く。
この話を聞いたノワイエ伯の4男、14歳のレイモンはエティエンヌに対抗心を燃やす。
自らの胸に十字の焼き印を押させ、大天使ガブリエルから啓示を受けたと十字軍に加わる。
レイモンに従うのは、21歳の騎士、ベルトラン。
騎士見習いの兄弟、ロベール15歳とピエール13歳。
そして、記憶を失っている従僕のガブリエル。








実際にあったという少年十字軍の物語。
きっとその時も大人の思惑が絡み、色々あったのだろう。
神の啓示を受けたエティエンヌと、神はいないと知っているとガブリエル。
そんな2人も一緒になって旅をする。
静かなエティエンヌより、謎のガブリエルが気になる。
しかし、最後にエティエンヌが頼ったのは、神ではなかった。
素直な気持ちと、皮肉な結末。
レイモンは偽者ということだが、実際の行動や巧みな言葉でそのことはうまく隠せる。
結局、宗教はこんなものなのかも知れない。
空無の中にも命はある。
神はいなくても、命はある。

エティエンヌたちの旅はまだ終わっていない。
この先どうなるのか、気になる。
途中で終わってしまったような気持ちになる。
物足りなく感じるのは、皆川さんはもっと長い物語が多いからだろう。


Studio LIFE の次回公演の原作。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「追想五断章」   米澤穂... | トップ | 「アンダルシア 外交官 黒... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事