しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「わたしの美しい娘 ―ラプンツェル―」 ドナ・ジョー・ナポリ 

2009年09月06日 | 読書
「わたしの美しい娘 ―ラプンツェル―」 ドナ・ジョー・ナポリ    ポプラ社
  Zel            金原瑞人/桑原洋子・訳

ツェルは母親と2人だけでアルムの山小屋に暮していた。
ツェルの13歳の誕生日の前に、2人は町へ買い物へ行く。
母親はツェルの誕生日プレゼントを買うために、ツェルを鍛冶場に残して行く。
ツェルは蹄鉄工の仕事と馬を見るのが好きだったのだ。
この時はメタという馬がいたが、蹄鉄工を手こずらせるのをツェルが宥めてやる。
そこで馬の持ち主の若者コンラッドと出会う。
町から戻り、母親はツェルの心に自分以外の存在があることを知り、ツェルを高い塔に閉じ込める。
それには理由があった。



童話「ラプンツェル」がモチーフになった物語。
静かで美しく広々とした雰囲気の世界を感じる。
母娘の愛情の物語でもあるのだが、愛情って何だろうと考えさせられる。
母親が魔女だったのだが、その魔女になった理由がツェルだった。
ツェルと母親とコンラッドの3人の立場から書かれている。
3人ともがひとつの愛を求めて、苦悩の日々を送って行く。
それが人生なのかな。
しかし、ひとつのことにそうまでして執着してしまう母親の気持ちが怖い。
「子どもが欲しい」「いつまでも自分だけの娘でいて欲しい」。
いかに努力しても叶わない夢はある。
自分ひとりで世の中は動いている訳ではないから。
どこかで、折り合いが付けられないと、心に破綻が来る。
でも、最後の母親とツェルの会話、言葉を交わすことによって多少は分かり合えるのかも知れない。

童話は、ハッピーエンドで終わるけれど、その先は大丈夫なの、という疑問がある。
この物語は、安易なハッピーエンドではないところがまたいい。
最後に優しい気持ちで終われた。

魔法にも色々あるが、植物を自由に操れるというのは、結構面白かった。
色々な使い方が出来るものだ。

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