しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「風が吹いたら桶屋がもうかる」 井上夢人 

2007年06月14日 | 読書
7編からなる連作短編集。
牛丼屋でアルバイトをしている三宅俊平、公務員で超能力者の松下陽之介、パチプロの両角一角。
この3人が元倉庫に同居している。
超能力の話を聞いて助けを求める女性が牛丼屋を訪ね、シュンペイが自宅に連れて行き、超能力でなんとかしようと頑張るヨーノスケを待っている間にイッカクが論理的な考察でその問題を解決しようとする、というパターン。

「風が吹いたらほこりが舞って」
麻生千佳は行方不明になった恋人を探して欲しいという。

「目に見えぬ人ばかりふえたなら」
宇田川織絵は可愛がってくれた叔父の最期の言葉の意味を知りたいので、叔父の霊に聞いて欲しいという。
それは「ホッタさんが、織絵なら―」だった。

「あんま志願が数千人」
笈川聡子は新しく構えた事務所の2階のトイレだけで聞こえる赤ん坊の泣き声の意味を知りたいという。

「品切れ三味線増産体制」
杵淵泰世は遊園地で子どもを救い、何も言わずに立ち去った人を捜して欲しいという。

「哀れな猫の大量虐殺」
敷島尚子は超能力なんてインチキだから、それを暴こうとする。
でも、寄木細工の箱を持ち込んで透視出来たらと期待していた。

「ふえたネズミは風呂桶かじり」
滝沢朋美は自分の部屋で起きるポルターガイストをなんとかして欲しいと。

「とどのつまりは桶屋がもうかる」
松原亜紀は同居の友人がいなくなり、自殺の可能性があるので捜して欲しいという。



面白かった。
超能力というと、スーパーなものを想像するが、ヨーノスケのはシュンペイ曰く「低能力」。
自分の手を動かした方が早いのに、何も余計な苦労をしなくてもいいという。
そうかも知れないが、実際に見たらきっと登場人物の女性と同じ様に感激すると思う。
しかし、登場するの女性の反応も面白かった。
シュンペイは大らかな人なんだ。読んでいて自分はちょっといらいらしてしまう。
こういうものを毛嫌いしている人の反応にも、特別いらいらした。
パターン化した連作短編で、いつもイッカクの推理は外れるのだが、自分はイッカクの推理が凄く納得で面白かった。
後で分かった真実の方が取って付けたように、うそ臭く感じるのは何故だろう。
こちらの方が考えるのに苦労したのではないかと思えるのだが。

「チーム」と同じような物語だが、結構こういうパターン化するのは大変そう。
「チーム」の方が平均的な出来で、こちから方がちょっと面白みに差があるかも知れない。
しかし、こっちの方が好きなのは、ちょっと変わった3人組が好きだから。

本当の「風が吹いたら桶屋がもうかる」の意味はちょっと違う?
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