しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「プードルの身代金」 パトリシア・ハイスミス  

2009年04月07日 | 読書
「プードルの身代金」 パトリシア・ハイスミス    扶桑社ミステリー文庫
 A Dog’s Ransom     岡田葉子・訳

ニューヨークの高級住宅街に住むエドワード(エド)・レイノルズとグレタ夫婦。
ある夜、エドが愛犬のリザを散歩に連れ出したが公園でリザが行方不明になる。
そして、犬を返してほしければ1000ドルをよこせという脅迫状が届く。
約束の場所の1000ドルを置くが、リザは戻らず、エドは警察に届ける。
話を聞いたマグレガー警部は、あまり乗り気ではないようだった。
横で話しを聞いていた若い警官、クラレンス・ディアメルは独自に捜査も協力を申し出る。
それは今の自分の立場に馴染めないクラレンスの、何か役に立つことがしたいという気持ちの表れでもあった。
やがてクラレンスはケネス・ロワジンスキーを発見する。




何だか、変な物語。
愛犬を誘拐され身代金の受け渡しを受け入れるにしても、要求にそのまま従うのではなく、もう少し見張るなどするだろう。
犯人を見つけたら、やはり目を離さないだろう。
時代が長閑なのかも知れないが、何となくみんな間が抜けている。
しかし、この物語の中心はそんな愛犬の誘拐事件ではなく、人間の心理にあるようだ。
殺人が起こるが、それは成り行きで、だから悪いこととは思わない心理。
それが自分にも伝染している感じが怖い。
今回、警察が殺人を自白させようと執拗に取り調べる。
証拠がないので、自白しか手がないのだ。
冤罪はこの様に起きて来たのだと納得させられる怖さだ。
そして実際に殺人をしているのに、自白しないで頑張れと応援してしまう自分がいる。
警察の取調べがそれほどに悪どいから。
ラストは逆の展開になるのではと思っていたのだが。
最後に救いが残らないのもハイスミスの物語だ。
それなのに、また読もうを思うのは、何故。
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