しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件」  宮部みゆき

2014年07月19日 | 読書
「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件」  宮部みゆき  新潮社    
 
1990年、雪が降り積もったクリスマスの朝。
城東第三中学校の通用門の近くで、雪に埋まった死体が発見される。
それはその中学の2年A組の柏木卓也だった。
発見者は、同級生の野田健一。
柏木は11月半ばから不登校だったが、野田は前日ショッピングモールで、1人でいる柏木を見かけていた。
遺書はなかったが、墜落で出来た傷以外は見られず、両親からも自殺を認める発言があり警察は自殺と判断する。
2年A組の学級委員、藤野涼子は父親の剛が警視庁捜査一課の刑事。
自宅が学校の近くでもあり、その朝父親が係った事で、柏木の事故もいち早く情報を得ていた。
柏木に死を知り、泣いて悲しむ同級生に涼子は同調出来ずにいた。
ショックではあったが、特に話したこともない柏木の死を悼む気持ちはあまり湧いてこなかった。
柏木が不登校になる前、不良3人組の大出俊次、井口充、橋田祐太郎と揉める。
それが原因での自殺、あるいは大出たちが突き落とした、などの噂も学校では囁かれた。
学校側は保護者集会を開き、今回の説明をする。
そして年が明け、始業式の日に、津崎校長、藤野涼子、2年A組担任の森内恵美子の元に速達郵便で『告発状』が届く。
しかし、森内教諭宛ての告発状は、何故かマスコミの目に触れる事になる。
そして、柏木卓也の死は、色々な人に影響を及ぼして始める。








長い物語の第1部、事件。
柏木卓也の死が、波紋を起こして、それまで静かだった所に波を起こして行く。
まだジワジワという感じなのか、静かな展開。
サイドストーリーと言える物もあり、登場人物がどんな人間なのかを知らしめる段階なのかも知れない。
それはそれで、興味深いが。
かなり人間のドロドロとした暗い部分が、多く出されている。
しかし、みんなあんなに打算的に生きているのだろうかと、単純な自分は思ってしまうが。
反対に“とてもいい子”も登場して、少々割り切り過ぎな感じも。
みんな、多かれ少なかれ、反対の面も持ち合わせているだろうから。
マスコミ代表の茂木の態度には苛々させられるが、それも社会の一面か。

謎の少年が登場。
きっと柏木卓也の死を鍵を握るのはこの子だな、と。
しかし、卓也も宏之からみたら悪魔的な存在。
思い出すのは『少年は残酷な弓を射る』のケヴィン。

ここから真相が導き出されるというより、もっともっとドロドロした物がだされるのではないだろうか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「牽制 警視庁失踪課・高城... | トップ | 「ソロモンの偽証 第Ⅱ部決意... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事