「透明な螺旋」 東野圭吾

「透明な螺旋」　東野圭吾　　文藝春秋　

島内園香は母、千鶴子２人と暮らし。
千鶴子は児童養護施設に勤めていたが、千鶴子自身がそこの出身だった。
園香の就職が上野の生花店に決まり、２人は千葉から綾瀬に引っ越してくる。
それから５年後、千鶴子が突然、くも膜下出血で急逝する。
ほどなく１人になった園香は店に仕事を依頼した映像関係の仕事をしている上辻亮太と知り合う。
やがて亮太は園香の部屋に越して来る。
そして亮太は仕事を辞め、支配的な態度を取り、暴力も振るうようになる。
その亮太が南房総沖で遺体となり漂流しているのを発見される。
背中を銃で撃たれており殺人事件として捜査が始まる。
亮太には行方不明者届けが園香から出されていた。
園香が友人との京都旅行から戻ると姿が見えず、１晩待っても帰って来なかったと言う。
警察が園香に話を聞きに行くと、園香も行方知れずになっていた。
担当するのは草薙刑事と内海薫刑事。
薫は身の回りの物が無くなっていることから、自ら姿を消したと判断する。
人間関係を調べて行くと、園香と親しくしていたナエと言う人物が浮かび上がる。
やがて、ナエと湯川学とつながりも分かる。






ガリレオシリーズから、もっと湯川学に活躍して欲しいのだが、これはあまり登場する意味がない。
科学的な事が出て来たのは、絵本のタイトルとその内容くらい。
これでは活躍したとは言えない。
ガリレオシリーズなので、湯川学が出て来ますが。
そして、今まで考えた事もなかった出世の秘密も出て来るが。
それは、この物語の事件とあまり関係なく、唐突に分かる事。
関係者にたまたまその事を話さなければいけない人がいた、だなんて。
あまりにも取って付けたようで、その事にたいする感情がなかった。
思ったのは、加賀恭一郎のように、東野さんの書くヒーローはみんな親に対して秘密を持っているのかと言う事。
物語自体も、あまりにも平坦でドキドキ感がなかった。
それは最初から最後まで。
東野さんだから、サクサクと読んでしまうが、平凡過ぎると思ってしまった。
それに被害者が拳銃で撃たれていたなら、その方面からも捜査を始めるものではないだろうか。
日本で一般市民が銃殺なんて。
その事を調べている様子がない事が不思議。
それに、どうして拳銃を持っているのだろうと思った。
その事に付いてはちゃんと説明があるが、都合がよかったのだ。

タイトルの意味する事も、今一つ分かっていないのだが。
螺旋と言うとＤＮＡかな。透明とは何だったのだろう。