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「十二国記 風の万里 黎明の空」(再読)  小野不由美 

2019年10月14日 | 読書
「十二国記 風の万里 黎明の空」(再読)  小野不由美  講談社文庫  上・下巻

鈴は海客として才の国に流れ着く。
言葉が分からず、落ち着く先を見付けられない鈴は、初めて言葉が分かった飛仙の梨耀に頼み込み下僕となる。
しかし、梨耀は自分の鬱憤を鈴ら下僕に無理を言う事で晴らしていた。
100年勤めるが、耐えきれなくなる。
そんな時、新たに王になった慶国の王が海客で自分と同じ娘だと知り、きっと自分と同じに寂しがっていると考える。
景王なら自分の気持ちが分かると、鈴は慶に行くことを考える。

芳国は峯王・仲鞭の治世30年あまりの時、圧政に耐え兼ね州師が蜂起する。
仲鞭と王后・佳花、峯麟が討たれる。
公主・祥瓊は仙籍を削除され、玉葉と名付けられ里家へ預けられる。
3年余りたった頃、祥瓊は元公主という事がばれて、処刑されそうになり恭国に預けられる。
祥瓊は、慶国の新王が自分と同じ娘だと知り、自分が失った物を全て持っているのを憎く思う。
そして、景王から玉座を簒奪することを考え始める。
供王の宝物と騎獣を盗んで、祥瓊は慶国を目指す。

景王・陽子は十二国のことが分からず、困惑していた。
「分からない」と言う度にため息をつく景麒と官吏。
そこで、民の事を知る為に王宮を出て街で暮らす事にする。
景麒が見つけて来たのは小さな里の固継にある里家。
ちょうろうの遠甫から陽子は学ぶ。
やがて、固継の隣町、拓峰の郷長・昇紘の悪政を聞く。







全く境遇が違う3人の少女が主人公。
景王陽子、海客の鈴、芳国の元公主(王の娘)祥瓊。
やがて3人は出会うのだが。
鈴と祥瓊は初登場なので、生い立ちや陽子に出会うまでの人生が書かれる。
そして、それぞれの心持ちが丁寧に書かれる。
それは妬みや自分を可哀想と憐れむ気持ちなど。
色々な感情は多かれ少なかれ誰もが持っているもの。
持っていても、それを全面に出すか気にしないかで変わる。
それは、他の人と接し知る事で変わって行く。
そして変われるのは、自分で気が付くこと。
しかし、接する人も相手を思いやる気持ちがなければ駄目だ。
蔑みや憎しみ呆れなどのマイナスの感情を持っていては相手に伝わらない。
鈴は清秀と、祥瓊は楽俊と出会って変わる。
2人は相手に対する時、真っ直ぐな平等な気持ちがある。
2人ともきちんと正直に思った事を伝えるけど、そこに悪意はない。
だから最初は耳に痛くても、伝わって行くのだろう。
そんなことを思うと人との出会いは大切なのだ。
陽子の悩みも人と接することで気が付いて行く。
しかし、いきなり王となり、その国をどうしたいかなんて凄い話だ。
やっぱり楽俊っていい。

祥瓊は恭国で供王珠晶と出会う。
人の上に立つ者は、“知らない”では許されない事を珠晶は知っている。
祥瓊との対比が印象的。

物語は面白く、先も分かっているのに読み進むのが止められない。
十二国記は徹夜本。

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