しましましっぽ

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「湖畔荘」 ケイト・モートン 

2018年08月25日 | 読書
「湖畔荘」 ケイト・モートン  東京創元社  上・下巻
THE LAKE HOUSE     青木純子・訳

ロンドン警視庁の女性刑事が問題を起こして謹慎処分となった。
女児を置き去りにして母親が失踪したネグレクト事件を担当していて上層部の判断に納得がいかず、新聞社にリークするという荒技に走ったのだった。
ロンドンを離れ、コーンウォールの祖父の家で謹慎の日々を過ごすうちに、打ち捨てられた屋敷・湖畔荘を偶然発見、そして70年前にそこで赤ん坊が消える事件があり、その生死も不明のまま迷宮入りになっていることを知る。
興味を抱いた刑事は謎に満ちたこの事件を調べ始めた。
70年前のミッドサマー・パーティの夜、そこで何があったのか?
仕事上の失敗と自分自身の抱える問題と70年前の事件が交錯し、謎は深まる!
          <単行本上巻カバー見返し側より>

70年前、コーンウォールの湖畔荘で消えた赤ん坊。
見捨てられた屋敷の現在の持ち主は、ロンドンに住む高名な女流ミステリー作家アリス・エダヴェインだった。
消えた赤ん坊の姉だ。
当時、湖畔荘には三人の娘がいた。
そして消えた赤ん坊は待望の男の子だったのだ。
女性刑事はなんとしてもこの迷宮入りした事件の謎を解きたくなり、作家アリスに連絡を取る。
1910年代、30年代、2000年代を行き来し、それぞれの時代の秘密を炙り出す。
        <単行本下巻カバー見返し側より>








ケイト・モートンの3作目だが、これが1番面白かった。
現代から過去を探って行くという設定は同じ。
今回は身内ではない第三者の刑事が事件としてとらえて探って行く。
年代が3つあるので登場人物も多い。
しかし、それでもそれぞれの登場人物のストーリーがきちんとある。
その心情も分かるように、丁寧に書かれている。
戦争で負う傷は、どんな戦争でも変わらないだろう。
「戦争がなければ」と誰もが思うだろうが、なくならない戦争。
なぜだろう。
赤ん坊の誘拐事件をいう事と、書き出しから、ラストの真相が分かっても悲惨な結末だと予想された。
それに向かって進んでいく物語。
殺人ではなく、せめて事故であって欲しいと思う気持ち。
それでも、悲しいことには違いがないのだが。
しかし、思わぬ結末が待っていた。
物語なのだから、こういう結末は嬉しい。
セイディの抱えていた事件も、ちゃんと結末が付いた。
すべてにおいてぬかりなし、という感じだが。
そう、ひとつ疑問なのはエリナの死は自殺の様に思えるが、その理由が分からない。
先が開けた時だったのではないのだろうか。
そして、みずから命を絶つ人物とは思えないのだが。

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