しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「聖地巡礼」   真梨幸子 

2011年12月30日 | 読書
「聖地巡礼」   真梨幸子         講談社ノベルス

5編からなる短編集

「グリーン・スリーブス」 首かけイチョウ
高校の同窓会に28年ぶりに参加した朋子と美弥。
それは「あの子」が来るという情報が入ったから。
それは、2人にとって苦い思い出の中にいる、美少女。

「カンタベリー・テイルズ」 カンタベリー大聖堂
格安ツアーで訪れたロンドン。
カンタベリーに向かうヴィクトリア駅で知り合った、日本人旅行者。
失恋旅行中のカワイとカップルのアキモトとスズキ。
4人は列車の中で、『カンタベリー物語』のように、不思議な話を順番に披露する。

「ドッペルゲンガ―」 来宮神社
熱海で芸者をしている初音は、東京にいる彼を待っている。
東京に行く予定で行けなかった日、同僚の雀が熱海駅で初音を見たという。
そして他でも、自分がいないところで見たという話を聞くようになる。

「ジョン・ドゥ」 井の頭恩賜公園
真由美はパワースポットの取材で井の頭公園に行く。
年上の友人ユカリと待ち合わせて訪れる。
そこで、ユカリは15年前にあった事件の話をする。

「シップ・オブ・テセウス」 西新宿高層ビル群
未来の物語。
新型糖尿病の出現が、人口を急激に減らしていく。
再生保険会社は、クローンを産業化していた。
トオルとタクヤは、11歳の時から一緒にいるが、トオルはクローンだった。




ホラーっぽいサスペンス。
心理サスペンスの要素も。
「カンタベリー・テイルズ」が怖い。
何だかありそうな気もするから。
そこまで、ひとつのことにしがみつく執念。
執念は怨念になって、軌道を外れていく。 
短編ながら、複雑に盛りだくさんなものが多い。
その分、ちょっと描ききれていないような印象も。
余韻や考える余地を残した、と言った方がいいのか。


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