しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「昏い部屋」 ミネット・ウォルターズ 

2008年12月20日 | 読書
「昏い部屋」 ミネット・ウォルターズ    創元推理文庫
 The Dark Room     成川裕子・訳

1994年6月13日。
イギリス、ハンプシャー州、ストーニー・バセットの廃飛行場に1つだけ残る柱に車が激突する。
車から投げ出され、意識不明で救出されたのは、フランチャイズ・ホールディングズ社の社長の一人娘、ジンクス(ジェイン)・キングズリーだった。
3日後意識を取り戻したジンクスは10日間の記憶を失くしていた。
事故の前に、ジンクスは婚約者のレオ・ウォルダーから婚約を破棄しジンクスの友人でもあるメグ・ハリスと結婚すると告げられ、1度自宅で自殺を図ったと聞かされる。
そして今回の事故も2度目の自殺と見られた。
しかし、ジンクスは自分が自殺を考えるとは思えず、婚約破棄を聞いても安堵感があり、周りが思っている状況との違和感を覚える。
確認しようとしても、レオとメグとは連絡が取れない。
そして10日後、2人の惨殺体がハンプシャー州アーディンライの森で発見される。



今起こった殺人に加え、過去に起こった殺人についても推理がされるが、結局どちらもはっきりしないで終わる。
ミネット・ウォルターズらしい作品。
犯人候補は何人かいて、登場人物がそれぞれ推理したり考えがあるが、どれを支持するかは、読者の自由のような。
ジンクスがどんな人物かが、読み進めていくと印象が変わっていくので、どれを支持するかもぐらつく。
しかし、登場人物たちを一番支配しているのは、ジンクスの父親、アダム・キングズリー。
不動産業界の大立者だが、自分の思う通りにならない事は何もないという、マフィアのボスのような人物。
それが一度も登場しないのが、ミソなのだろう。
ピースが足りないまま、なんとなく辻褄を合わせて完成させてしまったけれど、やっぱり落ち着かない。
そんな感じの物語。
嫌な人間ばかりで落ち着かない、ということもあるかも。
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