しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「Another エピソードS」  綾辻行人 

2014年06月27日 | 読書
「Another エピソードS」  綾辻行人    角川書店

「聞かせてあげようか、あなたの知らなかった、この夏のお話」
見崎鳴が榊原恒一に語ったのは9月の下旬の事、鳴の家にギャラリーでのこと。
鳴は8月のクラス合宿の前に1週間ほど夜見山を離れて、家族で海岸の別荘に行く。
その時に賢木晃也(サカキテルヤ)の幽霊に出会ったと言う。
賢木は26歳で、一昨年と昨年出会っていた。
賢木は夜見山北の『87年の惨劇』で災厄にあった経験者だった。
バス事故で担任と生徒7人が死亡し、賢木は足に怪我を負っていた。
鳴はその件で話を聞きに行ったが、賢木は5月の初めに死んでいた。
しかし、記憶を無くし死体が見つからなくて探していると言う。
自分の姿が鳴にだけは見えるのを喜びで、鳴と賢木は何度か会って語り合う。








海辺を舞台に、静かに語られる物語。
幽霊としての思考や捉え方も面白い。
どうして自分は幽霊になったのか、出る時も自分で選べないのは何故なのか。
そして、記憶を無くしているから真相を知りたい。
自分が覚えていることを懸命に手繰り寄せる。
鳴も不思議な雰囲気だから、2人で普通に会話していても違和感がない。
そんな、ゆったりと不思議な物語だと思っていた。
所が、幽霊にはしっかりとオチがあった。
「Another」の続編で、これもホラーということだ。
オチがなくても、そのまま幽霊でも良かったのに。
確かに2人の出会いやその他にもちょっとチグハグな所はあったけれど。
分かってから、もう一度考えるとああ成程と、色々思い当たる。
伏線と言うか、叙述トリック。
しかし、死体を隠蔽するなら空間ではなく、埋めるのが望ましいのではないかな。
埋めれば、いつかは土に帰って行くけれど、空間に置かれた死体を想像すると、怖いと思うのだが。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「007 白紙委任状」  ... | トップ | W杯 ブラジル大会 グルー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事