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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「プラハの墓地」  ウンベルト・エーコ 

2017年09月30日 | 読書
「プラハの墓地」  ウンベルト・エーコ    東京創元社   
 IL CIMITERO DI PRAGA    橋本勝雄・訳

イタリア統一、パリ・コミューン、ドレフュス事件、
『シオン賢者の議定書』・・・・・・
すべてに関わるひとりの男がいたとしたら?
知の巨人が描く憎しみのメカニズム。
  
ユダヤ人嫌いの祖父に育てられ、法学を学んだ青年、稀代の美食家シモーネ・シモニーニは、祖父の死後、ある公証人のもとで遺言書等の文書偽造の仕事を任されるようになる。
陰謀渦巻く、混沌とした19世紀ヨーロッパを舞台に、偽造の腕を買われた彼は各国の秘密情報部との接点を持つようになり、その守備範囲は遺言書や証明書等の個人的な書類から政治的な文書へと広がっていく。
そして、行き着いたのは史上最悪の偽書と言われる『シオン賢者の議定書』だった。
捏造であることが判明した後も、ナチのホロコーストの根拠とされ、アラブ世界ではいまだに読まれつづけているというこの文書の陰に、シモーナの存在が・・・・・・。
本書の登場人物中、彼以外はほぼ全員、実在の人物である。
      <単行本カバー見返り部分より>






主人公以外は実在の人物だという。
しかし、この時代のことは良く知らないので、実在の人物と言われても知らない人がほとんど。
ガリバルディは、ガリバルディ・ポーズをバティストゥータがゴールを決めた時やっていたので。
イタリアの英雄という事は知っている。
これは歴史小説と言う感じだが、裏の歴史。
陰謀と暗殺と、かなり混沌とした時代が浮き彫りになる。
人種や宗教による対立も大きい。
しかし、なぜユダヤ人がそこまで嫌われたのだろう。
聖書の時代から始まった事なのか。
シモーネ・シモニーニは祖父の考えをそのまま受け継いだだけ。
ユダヤ人には会った事がない前から嫌っていた。
そして、「シオン賢者の議定書」が生まれた背景が書かれているのだが。
嘘か本当は関係なく、ある思考が多くの人たちに提示されたらそれで良かったのだろう。
人間は自分に合う考えに迎合して行くだけ。
怖い時代。
しかし、今も似たような事は有る。
政治的な陰謀が溢れ、難しい所もありどれだけ理解しているか自信はないのだが。
この時代の社会の雰囲気は分かる。
この時代の歴史に詳しければ、この事実や事件の裏にはこんな事があったのだと色々興味深く感じると思う。
それを知らない自分は、書かれている事をその通り受け止めていくだけ。
歴史の裏側を見て、なんていう時代だろうと思う。
宗教も、自分たちが権力を握る為だけの物。
フランスの革命後の自由、平等、博愛はどこにあるのだと言う感じ。
イタリアはまだ統一されていない。

物語は、2人の人物の日記と、それを紹介する〈語り手〉からなっている。
シモーネ・シモニーニとダッラ・ピッコラ。
お互いに記憶がなくなっている所を補って、サスペンス風な盛り上げもあるが。
淡々と語っても、興味ある内容だ。
陰謀や計略は色々な形で、ずっと社会にあるものなのだろう。
今はフェイクニュースが横行している。
そういう偽りの物には悪意がある。
結局、何を信じるか、難しい時もあるが、自分がどう考えるかを大事にしたい。
結局、上にいる人達は自分のことしか考えていないのだから。
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