しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「誘拐児」 翔田寛 

2009年09月12日 | 読書
「誘拐児」 翔田寛       講談社

昭和21年8月7日。
警察は誘拐された子どもの身代金を受け渡し時に犯人逮捕を目論む。
しかし、身代金は奪われ、子どもは帰らなかった。
それから15年後。
谷口良雄は母親の死に際の言葉に、自分は誘拐された子ではないかと疑問を持つ。
母には親戚との付き合いも一切なかった。
箪笥の奥に隠すようにあった手帳を見つけた良雄は、そこに書かれた人たちに連絡をとり、自分と母の過去を調べ始める。



面白かった。
もうひとつの殺人事件がこの誘拐事件にも絡んで来る。
警察の捜査と良雄の調査が同時進行で進んでいくが、それ1番知っているのは読者。
伏線もさりげなく貼られて、それに気が付いて行くところのドキドキ感も充分ある。
登場人物よりも先に気が付いた点もあり、そんなところでも、ちょっと気分がよくなったりして。

良雄の心の動きも興味深かった。
真実が分からない時は気持ちも安定しない。
分かってしまうと、疑心暗鬼の時は許せないことも許せるようなる。
中途半端というのが、1番精神には悪いのかも知れない。
真実を全て知らない方がいいという事もあるが。
もし何かで騙すなら、トコトンそれが真実だと騙した方がいいのかも知れない、と思った。

ひとつ、郵便の使い方で、人を捜し当てる方法が書いてあるが、それはちょっと上手く行かないような気がする。
間違えて転送された郵便物を戻す時、わざわざ自分の氏名などは知らせないだろう。
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