しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「残り全部バケーション」  伊坂幸太郎 

2014年04月07日 | 読書
「残り全部バケーション」  伊坂幸太郎   集英社   

5編からなる連作短編集。

第1章 残り全部バケーション
家族がバラバラなる最後の日。
知らない人から“友達になろう、ドライブに行こう”とメールがあり、それに応じた家族、早坂家の3人。
やって来た岡田くんを巻き込んで、最後だからと「秘密の暴露」を出しあう。

第2章 タキオン作戦
小学生の雄大は父親から暴行を受けていた。
学校からの帰り道、偶然出会った溝口と岡田がそれを見抜く。
岡田は、雄大を虐待から救おうと計画を立てる。
それは、自分が1番大事な人間は、他人の忠告には耳を貸さない。
だから自分からの忠告には耳を貸すだろうと言う作戦。

第3章 検問
溝口を、岡田に代わる新しい相棒太田の乗った車が検問にあう。
どうやら、田中議員が襲われた事件があったかららしい。
後ろの席に、依頼を受けて攫ってきた女が乗っていたのだが、無事通過する。
女をトランクに移そうとして、トランクに札束が詰まった鞄が入っているのに気が付く。
何故ここに、そして検問の警察官はトランクを見たのが何も言わなかったのは何故か。
岡田と太田はもう一つ依頼があり断った仕事を思い出し、推理する。


第4章 小さな兵隊
岡田くんが小学4年生の時の物語。
「岡田くんは問題児」とクラスで言われていた。
でも、担任の弓子先生はそんな風には思っていなかった。
同級生の僕は、問題児がいるのなら、答え児もいるのではと思っていた。
僕のお父さんは、長期出張中で電話で話すことが多い。
そんなお父さんも、岡田くんの行動は認めているようだ。
そして、ある時お父さんは「弓子先生が危険」と言い、その事を岡田くんに言った「なんで知っているんだ」と言う。

第5章 飛べても8分
溝口さんは、太田との交代で高田と組んでいた。
思い付きで「当たり屋」をしたら、乗っていた男に拳銃を突きつけられる。
そして、走り去る車に、溝口は太腿を轢かれ骨折する。
その拳銃の男が、ボスの毒島に発砲して来た男だと確信する。
毒島も同じ病院に入院していた。
その男の顔を知っている溝口は、毒島の護衛を志願する。








通して登場するのは、岡田くんと溝口さん。
岡田くんは、人が悲しい顔をするのを見るのが苦手。
だから、そんな仕事はしたくないと、溝口さんと一緒の仕事を辞めようとする。
岡田さんが実際に登場しなくても、岡田さんが主人公の物語。
溝口さんも、岡田さんにぞっこんだったと後で知れる所もいい。

伊坂さんらしいちょっと変わったシュチエーションと会話。
悪い人なのか良い人なのかの、ちょっと分からない感じも、らしい。
一般的には悪いと言うか怖い人たちなので、何となくのめり込めない部分はある。
どうしても、そう言う人たちは苦手だ。
でも、伊坂さんはこう言う人が結構好きなようで、よく登場する。
もう少し違う設定だったら、もっと楽しめるのに、といつも思ってしまう。
登場人物が微妙に係り合って、展開を楽しめる物語。
しかし子ども頃の話からも、岡田さんはどうして溝口さんと組むような仕事に就いてしまったんだろう。不思議。

「タキオン作戦」のなるほどと思える解決策がいい。
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