しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「その雪と血を」  ジョー・ネスボ

2017年05月25日 | 読書
「その雪と血を」  ジョー・ネスボ   ハヤカワ・ミステリ      
BLOOD ON SNOW       鈴木恵・訳

オーラヴ・ヨハンセンは出来ない事が4つあって始末屋(殺し屋)になった。
ボスは麻薬業者、ダニエル・ホフマン。
殺す相手は、ライバル業者の《漁師》の手下。
そんなオーラヴには気にかけている女性マリアがいた。
マリアを助けた事で知り、その後も気になり見守っていた。
マリアは足が悪く言葉が不自由だった。
クリスマス前に、ダニエルが指示した仕事はダニエルの妻コリアを殺すことだった。
不貞を働いている妻が殺されたら怪しまれるのは夫だから、押し込みに見せかけて欲しいと。
コリアの動きを見張り、その愛人がコリアに暴力を働いていることを知る。
オーラヴは男の方を殺してダニエルに報告する。
その男はダニエルの息子、ベンヤミンだった。
コリアにその事を告げると、コリアは「ダニエルに始末される前に始末するしかない」と言う。








殺し屋が主人公。
苦手なことが色々あって、結局殺し屋にしかなれなかったと言う。
その理由からも、これはコメディな感じ。
だから殺し屋と言っても、オーラヴの純粋で真っ直ぐでひた向きというチグハグな性格も受け入れられる。
オーラヴは壮絶な子ども時代を送っているからか、生き抜く力もある。
自分の立場もきちんと把握しているし、策略家でもある。
2人の女性との係わり方も優しい。
これはクリスマスの奇跡を扱ったちょっと変わった物語。
もう少し、ハッピーエンドだったら良かったのに。

最後の雪の中の姿を想像する。
綺麗で威厳のある王様のように。
ラストに向けて動いていた物語なのかも知れない。
幸せな気持ちで逝ったオーラヴに、物語の優しさを感じる。
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