しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「心の砕ける音」 トマス・H・クック  

2006年09月20日 | 読書
1937年 メイン州ポート・アルマ。
キャルヴィン(キャル)・チェイスはジュファーソン郡地方検察官、5歳下のウィリアム(ビリー)・チェイスは父親の後を継ぎ新聞社・センティネル社の経営者だった。
子どもの頃からキャルは父親に似て現実主義者で、ビリー母親に似てロマンチストの情熱家だった。
ビリーはただ1人の女性が現われるのを待っていた。
そして、ドーラ・マーチという女性が現われる。ドーラは深い悲しみを秘めているようだった。
ビリーはドーラがその女性だと確信する。ドーラはセンティネル社で働き始めていた。
しかし、ドーラはポート・アルマに現われてから、1年すると姿を消してしまう。それはビリーが死んだ日でもあった。
ビリーの死から37日たち、キャルはドーラを捜し始める。


なにか薄い霧に包まれたような物語。
語っているのは、キャル。
ビリーやドーラ、両親の気持ちもキャルが感じているものだから、本当にそうだったのか分らない。
なんとなく違うのでは、と思ってしまう所もあり、そんな感覚が霧の中にいるような、はっきりしない感じを生み出している気がする。
ビリーは子どもの頃の様子からすると、もっと快活な性格かと思うが。

ビリーの死から始まって、謎の美女・ドーラのことが明らかになっていく。
サスペンスと言えるのだろうし、最後にあっと言わせるどんでん返しも待っている。
しかし、この雰囲気からか、それがあまり心に響かない。
心の闇が大き過ぎるから、そちらに気を取られているのかも知れないが。
面白かったかと聞かれると、ちょっと考えてしまう。
何故だろう。 
キャルやビリーがあまり好きなキャラクターではないからかも知れない。

「心の砕ける音」このタイトルは好きだ。
原題は「PLACES IN THE DARK」暗闇の場所かな。
ちなみに「陽の当たる場所」は「PLACES IN THE SUN」。
最近は映画のタイトルなどは、そのままカタカナ表示のことが多いが、心に引っかかる邦題を付ける方が好きだ。
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