しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「贖罪」  湊かなえ

2012年01月04日 | 読書
「贖罪」  湊かなえ    東京創元社

取り柄と言えるのは、きれいな空気の穏やかな田舎町。
8月14日の夕方、小学4年の少女5人、紗英、真紀、由佳、晶子、エミリが校庭で遊んでいた。
4人はその土地の子だったが、エミリは工場が建った為に引っ越してきた子だった。
そこに作業服を着た男がやって来て、手伝いを頼む。
エミリを選んで連れて行った男は、エミリを殺して逃げてしまう。
残された4人は、犯人の顔をどうしても思い出せず、犯人は捕まらなかった。
エミリの母親麻子は、そんな4人に激しい言葉を投げつけ、ある約束を強要する。





紗英、真紀、由佳、晶子のその後の物語。
この事件で受けた衝撃だけでも大きいのに、追い打ちをかけるように放たれた麻子の言葉。
詳細は読み進めていくうちに分かってくるのだが。
麻子の存在が怖い。
自分の発した言葉の重さも理解せず、投げつけるだけ。
もし、その時の心情通りに4人を疑ったのなら、もっと違う行動を取りそうだが。
そして、4人の事件が起こってからの心の変化も不自然な気がする。
1番始めにエミリの死から立ち直ったのは母親だなんて。
最後に犯人は分かるのだが、そんなに都合よく見つけなくてもよかった。
わからないままの展開でも、充分な物語だと思う。
ただそれだと、物語はひとつ減ってしまうけれど。
そう言えば、麻子は罪の意識は皆無で生きて来たのだろうか。
やはり麻子が怖い。

4人の事件後の気持ちや、その後の物語は、それぞれ違いが出ていた。
心の傷は外からは見えない。
こんな衝撃的な事件でなくても、大きく傷つく子はいるだろう。
そんな子が大人になって事件を起こすとは限らないけれど。


人間は平等といいつつ、何種類に分けられるのだろう。
分けるのは人それぞれ。
その人が、何を重要に思うかで変わる。
人種や国籍、性別、年齢、出身地というものあるけれど、実際に生活していて分けているもの。
都会者と田舎者、金持ちと貧乏人、指導する者される者。
麻子の分類は、自分には受け入れ難い。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第88回箱根駅伝・復路 | トップ | オールジャパン 2012 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事