しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「回想のビュイック8」 スティーブン・キング

2007年07月17日 | 読書
ネッド・ウイルコックス少年は警察官の父、カートを亡くしてから父親の勤務先のD分署に顔を出すようになった。
父親の思い出に浸るハイスクール最上級生の少年を、警察官の仲間は受け入れていた。
その夏、ネッドはD分署でアルバイトをすることになる。
そして、駐車場の先にあるBガレージの中のビュイックに興味を引かれる。
それはボディカバーを掛けておいても、おりおり滑り落として姿を現す。
そしてそれはビュイックに似て全く非なるものだった。
そしてそれは、D分署の決して他には知られることがない様に守り続けている秘密の存在だった。
カートにも深く係わりのあったビュイックの物語を、カートの元同僚警官たちが憑かれたように語り始める。


これは映像の方が適したような物語。
結構読み進めるのに時間が掛かった。丁寧に読まないと想像が上手く出来ない。
流れていくような物語ではないというか。
怖さというのはそんなになかったのだが、最後の方に出てくる「魚の年」の話はさすがに怖かった。
世に中には、決して相容れないものがあるのだろうか、と言う事で。
自分と異なる物を受け入れられないという気持ちは、大なり小なりあると思う。
その許容範囲によってその人の世界も変わっていく。
しかし、理屈や理性ではわかっていても、感覚や感情が拒否してしまう。ありそうだ。
その感情は、異文化との交流は不可能にしてしまうだろうか。
なんだか、物悲しい物語。
ネッドと彼を取り囲む父親の元同僚たちの、人生についても語られている、心温まる物語でもあるのだが。
怖いので、あまり読まないスティーブン・キングの(と言いつつ結構増えてきているが)ちょっと雰囲気の違う物語。
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