しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ブラックアウト」  コニ-・ウィリス

2016年05月06日 | 読書
「ブラックアウト」  コニ-・ウィリス  ハヤカワ文庫SF   上・下巻
 BLAKOUT         大森望・訳

2060年のオックスフォード大学の史学生3人が、1940年のイギリスへ現地調査へ赴く。
ポリー・チャ-チルはポリー・セバスチャンとしてロンドンへ。
デパートに勤め、空襲の灯火管制(ブラックアウト)下の市民の様子を。
メロピー・ウォードはアイリーン・オラオリーとして、ロンドン郊外へ。
疎開児童を受け入れる屋敷のメイドとして。
その中で悪童のボドビン姉弟に振り回される。
マイクル・ディヴィーズはマイク・ディヴィスとしてダンケルク撤退を観察する為、ドーヴァーへ。
ところが、その頃ネットには時間と距離にずれが発生していた。
アイリーンは麻疹が発生して隔離され、降下時期が遅れるが、その後降下地点に行くがネットは開かなかった。
ポリーも報告に戻ろうとするがネットが開かない事を知る。
アイリーンはポリーの降下点を遣おうと、ロンドンへ向かう。
その時、屋敷が軍に接収される為、迎えに来れない児童、ボドビン姉弟シオドアを一緒に連れて行く。
マイクは意に反して、ダンケルク撤退に参加して、兵士を助け自分も負傷する。
そして、自分が歴史を変えたのではと心配する。そしてネットが開かないのはその為ではないか。
また、イギリスがこの戦争に負ける事になるのではと心配する。








2060年は、現代2016年とあまり変わっていない様子。
降下する地点のその時代を学んでから赴く学生たち。
日常のドタバタした感じや、学生の気楽さが今と同じ感覚。
トラブルがあると、直ぐに回収に来てくれると安心もしている。
戦争の時代に行く危険を本当に感じているのは、ダンワージー教授だけ。
今回はそのトラブルで、助けもなく何とか頑張る学生たち。
その時代の様子も生き生きと描かれ、それぞれのドラマがあって、面白い。
あっという間にこの世界に引き込まれる。
ロンドン空襲はあまり知らなかった。
日本と同じように、灯火管制や避難がある。
そんな中でも、日常の生活を続けている人たち。
気難しくもあり、明るくもある。
ポリーと同じような気持ちで、その当時の生活を興味深く観察している感じ。
メロピーとマイクルの経験している事も、興味深い。
空襲など緊迫感がある。
こちらは安全な場所に居ると言う気持ちが少々申し訳なくもあるが。

それにしても、何故降下前に変更が相次いだのだろう。
それによって、多くの担当者がてんてこ舞いしているのに。
戻るネットが開かないのは、この変更と何か関係があるのだろうか。
そんな事も気にしつつ。
そして、この時代のロンドンに居る学生は、まだ他にいる、メアリ・ケント。
メアリが居るのは1944年だが、それまでメロピーたちが留まると言う事があるのだろうか。
続編があるのは知らないで読んでいたので、最後はネットが開いて帰って終わりかと思っていた。
解決されないまま、「オール・クリア」に続いて行く。

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