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【ニュース紹介】「川俣の遺族が東電提訴 原発事故で避難苦に自殺」 2012年5月19日 福島民友ニュース

2012年06月04日 | 原発・震災
福島第一原発事故による自殺者の遺族が、東京電力に損害賠償を求める初めての訴訟を提起しました。


「川俣の遺族が東電提訴 原発事故で避難苦に自殺」(福島民友ニュース、2012年5月19日)
 東京電力福島第1原発事故で避難し、昨年7月に自殺した川俣町山木屋の渡辺はま子さん=当時(58)=の夫幹夫さん(62)ら遺族4人は18日、「原発事故による避難を苦に自殺した」として、東京電力に約9100万円の損害賠償を求め、福島地裁に提訴した。原告代理人「渡辺弁護団」の広田次男弁護士は、「法廷で東電の責任を追及していきたい」としている。
 訴えたのは幹夫さんと子ども3人。訴状によると、はま子さんは山木屋地区が計画的避難区域に指定され、避難生活の中で精神疾患を患い、自殺に至ったと主張。原発事故による心理的ストレスが精神疾患に起因し、自殺は原発事故と相当な因果関係があるとして、原子力損害賠償法や不法行為に基づく責任を訴えている。
 損害賠償額の内容は、はま子さん自身の慰謝料や葬儀費用、遺族としての慰謝料などで、総額9116万4617円。東電は「訴状を受け取っておらず、回答は差し控えたい」としている。(引用終り)


 川俣町山木屋地区は、年間20ミリシーベルトを超えるおそれのある計画的避難区域に指定されていました。計画的避難区域の賠償指針にあたる「中間指針」では、自殺に対する損害賠償ついての明確な記述がないものの、「生命・身体的損害」の項目で、「精神的損害等」を含めている趣旨からして、避難を余儀なくされたために精神的健康状態が悪化し、自殺に至った場合、損害賠償される可能性があると考えられます。また、原発事故によって自宅や仕事、地域社会までもが奪われたこと、原発事故に伴う避難生活が非常に困難であること、被ばくによる健康影響が懸念されること、事故収束の見通しが立たないなかで将来に対する不安が絶えないことなどに鑑みると、特段の事情が認められない限り、原発事故と自殺による死亡との因果関係は認めてよいと考えられます(日本弁護士連合会『原発事故・損害賠償マニュアル』加除出版、2011年)。


 先日も原発避難者の自殺が発覚した(「一時帰宅の男性、遺体で発見 福島・浪江町、自殺か」共同通信、5月28日など)ように、原発事故による被害は、依然として続いています。避難後もなお自殺者が後を絶たない現状は、避難政策の不十分さを如実に表しているといってよいでしょう。行政には、不安定な避難環境を改善し、さらなる「人災」の拡大を防ぐという責務があるとともに、東京電力には、原状回復が不可能な被害に対して、誠実な対応をする責任があることを再確認する必要があります。

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