Say Anything!

セイピースプロジェクトのブログ

【ニュース紹介】「南相馬市民2100人が準備 原発賠償請求」 2012年5月13日 福島民報

2012年05月29日 | 原発・震災
 福島第一原発事故の損害賠償で、集団申し立ての動きに関する続報です。


「南相馬市民2100人が準備 原発賠償請求」(福島民報、2012年5月13日)

 東京電力福島第一原発事故の損害賠償請求で、原子力損害賠償紛争センターに集団で和解仲介申し立ての準備をしている南相馬市民は約660世帯約2100人に上ることが分かった。12日、東京の弁護士有志でつくる原発被災者弁護団が南相馬市原町区のひばり生涯学習センターで記者会見して明らかにした。
 大森秀昭弁護士らによると、同市原町区ひばり地区の62世帯173人が14日に申し立てを予定している。請求は避難や除染、検査費用、生活費増加分などで、1人当たり約450万~約1000万円。総額は約10億円。不動産損害は請求を保留している。
 62世帯とは別に、ひばり地区の104世帯315人、同区太田地区の180世帯658人は今月末に集団申し立てを予定しており、12日に弁護士30人が2会場で個人面談を行った。同市小高区の315世帯約1000人は6月末、7月末に分かれて申し立てを行う予定だという。
 小松恒俊ひばり地区復旧・復興対策協議会長は「住民が自主的に動いてここまできた。感慨深い」と話した。
 このほか、飯舘村長泥地区の約60世帯約200人が申し立ての意思を示している。(引用終り)



 別の報道によると、具体的な損害項目としては、月額35万円の精神的苦痛に対する慰謝料を中心に、生活費の増加分、避難時に親類や知人宅へ宿泊した場合の宿泊費1日5000円(1人あたり)などを求めていくとのことです(「住民173人、原発事故であす集団賠償申し立て」河北新報、5月13日)。


 極めて低額であるとの批判にさらされてきた10万円~12万円の精神的損害に対する損害賠償(慰謝料)については、これまで原子力損害賠償に関する裁判外紛争解決手続き(ADR)で扱われた事例のうち、和解案のなかで、月額で増額が認められることは稀であるということが指摘されています(「月3万円上乗せで一部和解 原発賠償 避難後に要介護認定」福島民報、5月9日)。しかし、政府基準が多くの被害者に共通する部分について類型化した、最低限のものであるという原則に立ち返れば、より柔軟な対応が当然、認められるべきです。


 他方、今年4月以降進められている避難区域再編に伴って、東京電力と政府がさらなる賠償支払いの枠組みを模索しているようです(「区域再編後、年数で増額 原発事故の土地・建物賠償」福島民友、5月24日。直接の加害者である東京電力が賠償基準の策定に関与することにも大きな問題があるでしょう)。今後の動きを注視する必要があります。

最新の画像もっと見る