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【ニュース紹介】「原発事故・宮城集団賠償請求 「2億円被害」に支払い3万円」2012年8月29日、毎日新聞

2012年09月16日 | 原発・震災
 原発事故の損害賠償について、東京電力の不誠実な対応が依然として問題となっています。

■原発事故・宮城集団賠償請求 「2億円被害」に支払い3万円(毎日新聞、2012年8月29日)

 宮城県の15の個人・法人が6月下旬、東京電力に行った福島第1原発事故による営業損害などの集団賠償請求で、東電は計2億1635万円の請求に対し、現時点で3万円しか支払わない方針を示していることが28日分かった。事故と損害などの因果関係を十分に調べていないケースもあり、請求者代理人の県原発被害弁護団は「あまりに誠意に欠ける」と批判している。

 弁護団によると、請求のうち現段階で、東電が支払う意思を伝えたのは1法人が行った放射線量調査の費用3万円だけ。6個人・法人の請求計約1億2700万円については支払いを拒否した。残る個人・法人には営業実績などを示す資料の追加提出を求めているが、営業損害や逸失利益を補償するとの回答はまだない。

 東電側は、国の賠償中間指針に宮城県内の損害の大半が対象外とされていることを理由に拒否するケースが多い。弁護団は「事故と損害の因果関係が明確なら地域にかかわらず、補償される。東電は中間指針を都合良く解釈している」と主張している。

 賠償を拒否された宮城県富谷町の淡水魚養殖業者は震災後、東京の築地市場から「原発事故で宮城の淡水魚の注文がなく、出荷しなくていい」と言われた。主力のニジマスの出荷額は震災前、年間約250万円だったが震災後は1万円に落ち込んだ。

 こうした経緯を記した文書も請求時に提出したが、東電側は「事故と損害の因果関係は確認できない」と回答。養殖施設が蔵王町にあることも記載したが、東電側は「(富谷町に近い)鳴瀬川では淡水魚が出荷制限されていない」と拒否理由を挙げ、蔵王町の河川には触れなかった。

 放射線の影響を心配して野菜の栽培をやめた角田市の農家には「自主廃業は自身の自主的な判断で、事故とは無関係」として補償を拒んだ。

 請求に含まれる弁護士費用について「東電は窓口を開放しており、弁護士に依頼する必要がない」とする回答もあった。

 弁護団長の菊地修弁護士は「実態を調べもせず、適当に処理したような回答が多い。しっかり対応してくれると予想していただけに驚いている」と話す。

 東電東北補償相談センター(仙台市)は「請求者への回答は当社が依頼した代理人の弁護士が行った。弁護士に回答内容を確認し、事故と損害との因果関係をしっかり調べるよう、関係部署に伝えた」と話している。
(引用終り)


 記事からは、東電が、政府の示した賠償に関する指針(「中間指針」など)を賠償の上限として恣意的に解釈している実態が浮かび上がってきます。
 しかし、「この中間指針は、本件事故が収束せず被害の拡大が見られる状況下、賠償すべき損害として一定の類型化が可能な損害項目やその範囲等を示したものであるから、中間指針で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」(中間指針)と明記されているように、これらは賠償の最低限度を示したものであり、具体的事案においては、被害実態に即した丁寧な事実確認等が欠かせません。
 この点において、「出荷制限されていない」や「自主廃業は自身の自主的な判断」という理由を持ち出して、ことごとく賠償請求を却下する対応のずさんさ、不誠実さは、限度を割っているといわざるをえません。

 また、東電に対しては、第三者を介した手続きである原発ADRにおいても、その対応の悪さが問題視され、5%の損害遅延金が新たに設定されています。これら数多くの事例は、東電の加害企業としての自覚を強く疑わせるものです。

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