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セイピースプロジェクトのブログ

【映像紹介】『標的の村~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』(琉球朝日放送、2012年9月2日放送)

2012年09月08日 | 沖縄・高江
 番組HP:http://www.qab.co.jp/village-of-target/index.html

 映像をご覧になるにはこちら↓
 http://www.dailymotion.com/video/xtavz8_yyyy-yyyyyyyyy-yyyyyyy_news

 今回は、9月2日に放送された『標的の村~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』を紹介したい。この映像は、今まさに進められている沖縄県東村高江のヘリパッド建設問題に焦点を当てたドキュメンタリーである。高江のヘリパッド建設問題の基本的な事柄が掴める内容になっているので、ぜひ映像自体をご覧いただきたいが、ここではこの映像の見どころを紹介したいと思う。

 まず、このヘリパッド建設によって何が破壊されるか、ということである。このヘリパッド建設は、沖縄県北部の森に広がる北部訓練場の過半返還の条件として行われている。過半が返還されるのであるから、沖縄県が抱える米軍基地の「負担軽減」になるというのが名目である。果たして本当にそうだろうか。ヘリパッド建設のために豊かな自然や生態系が破壊され、訓練が激化することによって高江に暮らす人々の生活が破壊される。さらに、高江のヘリパッドはオスプレイも使用するとされており、ベトナム戦争時に高江につくられた「ベトナム村」を標的として訓練が行われたのと同様に、高江を標的にして、基地機能が強化されると考えられる。本当にこれは「負担軽減」なのだろうか。

 次に、高江の人々の自然や生活を守りたいという思いに対し、国がどのような対応をとっているかに注目したい。米海兵隊が発表したオスプレイ環境レビューには明確に、オスプレイのヘリパッド使用が記述されているにもかかわらず、国はこれを未だに否定しており、住民に対する説明もない。環境アセスもずさんな上に、オスプレイを想定して行われていない。こうした不誠実な対応の下で進められているのがヘリパッド建設であり、これに反対する住民たちを、国は「通行妨害」として裁判に訴えたのである。これは、SLAPP裁判、すなわち「力のある団体が声を上げた個人を訴える弾圧・恫喝目的の裁判」と呼ばれている。こうした裁判が許されてしまうようであれば、国策に反対の声を上げることが許されない社会になってしまう。これは、高江だけの問題ではない。

 最後に、この映像を見た私たちはどのような立場にいるのだろうか、ということを問うてみる必要がある。最後のナレーションの言葉が印象的である。「基地にとられた沖縄の土地。そこに入れば罰せられる。オスプレイは困ると声を上げれば裁判にかけられる。この国の法律と仕組みは誰のためにあるのだろうか。」高江の住民の「自然や生活を守りたい」という素朴な思いにすら耳を傾けない国が、人びとの生活や人権を守ろうとするのだろうか。この映像は、高江のヘリパッド移設問題が少数者の問題では決してないことを訴えている。

 映像を見た一人でも多くの方に、実際に高江に足を運んでもらいたいと思う。今日も、高江では座り込みが続けられている。

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